王女も首相も「恋チュン」。BNK48がタイで人気爆発、社会現象になっていた

BNK48劇場があるBNK48キャンパス

 6月16日、AKB48選抜総選挙が行われる。昨年まで1芸能ニュースとして左から右へ流していたくらいの関心しかなかった記者だが、今年は興味津々で注目している。第10回目の今年は、史上初の世界選抜となり国内グループだけではなく、海外で活動する2つのグループからも15人が立候補しているからだ。  海外からはBNK48(タイ・バンコク)とTPE48(台湾・台北)が参加している。  世界選抜のコンセプトは面白いのだが、第一回だけに万事がうまくいっているわけではなさそうだ。というのも、2011年結成のJKT48(インドネシア・ジャカルタ)は、イスラム教のレバラン(断食明けの休暇)のため参加を辞退するなど世界選抜ゆえの運営の難しさも感じる。しかも、海外在住者にとっては投票権獲得のハードルが高すぎて最初から海外グループは不利でかわいそうとの声も聞こえてくる。

筆者がハマったBNK48

タイ・フェスティバル2018へ初参加で日本のステージを盛り上げたBNK48のメンバー

 バンコクを拠点とするBNK48は昨年2月デビューにもかかわらず、タイ国内で圧倒的な知名度を得てまさに国民的なアイドルへの爆走中なのだ。そのBNK48が今年5月12、13日に開催された「タイ・フェスティバル2018」(東京・代々木公園)へ初参加。記者は幸運にも単体でインタビューすることができすっかりと魅了され、にわかにぷちヲタ状態に。そのため総選挙を注目するようになったわけだ。  友人のAKBヲタFさん曰く、海外グループは台風の目にすらならないと速報前から断言していた通り5月30日に発表された速報で、101位にBNK48のチャープラン、120位にBNK48のミュージックがランクインするも海外グループは1人も100位内に入ることができなかった。だが、速報後にFさんは、「あんな不利な状況なのにすごい。BNKの2人は100位以内に入るかも?」と驚いていた。  それはさておき、タイ国内におけるBNK48の浸透ぶりは本物だ。  BNK48は現在、タイ国内でCM9社出演しており連日のようにテレビやバンコクの駅やバスなどの広告で目にする。BNK48が特に知名度を上げたきっかけが昨年12月20日リリースされたセカンドシングルであるタイ語版「恋するフォーチュンクッキー」だ。 ◆タイに130店ほどあるやよい軒のCMに出演する。左からジェニス、チャープラン、ミュージック、パン  発売から5か月ほどでYouTubeの公式動画再生回数がなんと1億3300万回に達し、タイの総人口約7000万人の2倍近くになっている。この猛烈なブームのおかげで、本家AKB48の恋チュンのYouTube動画にも影響が出ている。というのも、本家PVは、5年で約1億4500万回再生となっているが、この余波を受けてここ数か月で再びPV数を伸ばしている。その原因がタイからのアクセスだろうと思われるのだ。

現在タイ国外からはアクセス制限で再生できない恋チュンBNK48公式動画もタイでは圧巻の再生回数

 また、日本でもさまざまな企業や自治体が恋チュンを踊った動画がバズったが、タイではタイの有名なアーティストが恋チュンをカバーしてロックやジャズ、ルークトゥン(タイ独自の歌謡曲)調などで歌い上げる動画を次々にYouTubeへアップしたことも知名度アップへ寄与した。  4月末にはプラユット首相と決めポーズで記念撮影する姿がニュースで流れたり、幅広い国民から人気がある故ラーマ9世の長女ウボンラット王女がダンスしながら恋チュンを熱唱するYouTube動画が公開され中高年にも知られるようになった。恋チュンの最初の手をこねるようなダンスに「オニギリ!オニギリ!」と掛け声をかけるのがユニークだ(ちなみにおにぎりの名付けの親は指原莉乃)。 ◆ウボンラット王女による『恋チュン』
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勢い余って記者もタイの劇場へ
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