価値のつかない“マイナス物件”で破産する人々<競売事例から見える世界3>

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値段がつかず、逆に費用が発生してしまうマイナス物件。それにまつわる悲哀とは……

 首都圏でも徐々に近づきはじめた、不動産バブル崩壊の足音。  これまでは発表と同時に購入希望者が殺到し抽選販売になった億ション。それだけではなく、当選者に1.5倍の額で権利を譲ってほしいとの交渉が抽選会場で開始されるほどの加熱っぷりだったのだが……、ピタリと止んだ。  首都圏の一等地がこの状況とあれば、地方都市や過疎地域では目も当てられない深刻な状況であることは想像に難くない。  実際に首都圏近郊にも驚くほどのスピードで人口減の波が押し寄せており、これまで当面は安泰と考えられていた「圏央道」内側地域にまでその影響が蝕み始めている。揺るぎない財産であったはずの不動産「土地神話」が揺らぎ始めているのだ。  差し押さえの現場でも不動産鑑定の評価額として、マイナスという0円を割り込む評価になってしまうものも少なくない。ただでさえ下落の一途を辿っている不動産価格に、悪条件が少しでも加わると、あっという間に評価額は0円を割り込む。  例えば、管理費や修繕積立の滞納、不法投棄物の撤去費用、高額な管理費の支払いを永続的に求められる別荘地などだ。  ではこのようなマイナス評価となる不動産は、どのような競売公示価格になるのかと言うと、ほぼ全てが1万円という扱いになる。150万円のマイナスだろうが、5万円のマイナスだろうが、1万円。  競売の目的上、「マイナス150万円です」と150万円を支払い引き取ってもらうわけにもいかず、価格をつけなければならないためこのようなチグハグが生まれてしまう。  もちろん公示価格1万円で実際にお得な物件もあるにはあるが、前記のようなマイナス資産も含まれているため、なるべく注意深く「3点セット」と呼ばれる、物件明細書、現況調査報告書、評価書に目を通しておくべきだろう。  これらはいずれも裁判所で閲覧することができ、大半は不動産競売物件情報サイト「BIT」でも確認できる。
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所有する農地は産廃が投棄され、いつの間にか小高い山のようになっていた!
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