過去8回のデフォルト経験国アルゼンチン、9回目のデフォルトを避けるべくIMFに支援要請
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マクリ大統領が国民にIMFに支援を要請することをテレビを通して伝えたその日にドゥホブネ財務相は米国に飛んだ。9日にはIMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事とも会談を持った。
今回、マクリ大統領がIMFに支援の要請に踏み切ったのは、5月15日に償還せねばらない国債6740億ペソ(3兆2400億円)が控えているからである。デフォルトに陥ることを避けるべくIMFへの支援要請は政府の方で最後の最後まで資金繰りを見て決定を遅らせていたという。
一方、IMFはアルゼンチンからの要請には積極的に協力する意向が強いと見られている。理由は、今年11月にブエノスアイレスにてG20の開催が予定されているからである。開催国が資金的に窮地にあるというのはIMFとして許されるべきではないからである。しかも、ロシア、中国、イランといった国との関係を強めIMFとは対立の姿勢を示していたクリスチーナ・フェルナンデス前大統領とは異なり、欧米との関係維持を積極的に進めているマクリ大統領への支援はIMFも好意的に受け止めているという。(参照:「iProfesional」)
しかし、アルゼンチンはこれまでデフォルトを8回引き起こしている国である。その主因は政治がポピュリズム主義に走る傾向にあり、その為に富が蓄積されてもそれをばら撒いて公共支出をコントロールすることが苦手なのである。だからIMFは審査も入念に行うものと思われる。(参照:「BBC」)
12年間続いたキルチネール夫婦による政権時代は、2003年に夫のネストル・キルチネールが大統領に就任した当初、その前年にドルペッグ制(1ペソ=1ドルの交換レート)から変動相場制に移行したあとで、通貨ペソ安で輸出が伸び経済は順調に成長した。その時に、未払いになっていたIMFへの債務も返済した。
ところが、2007年に妻のクリスチーナ・フェルナンデスが大統領に就任すると、彼女は感情で政治をする傾向があり、野党、企業家、労働組合とも妥協が苦手。その一方、彼女もアルゼンチン政治の伝統であるポピュリズム主義に走り公共支出のコントロールは怠ってばら撒きや保護主義を実施する傾向にあった。その結果、インフレ40%、財政赤字6%、外貨不足、貧困層が人口の32%を占めるという結果を生んでしまった。
この様な政治を変えたいといって登場したのが政治イデオロギーの異なった複数のグループが集まって出来た連合政党「カンビエーモス(Cambiemos)」で、2015年3月にブエノスアイレス市長のマウリシオ・マクリをリーダーにして変革を訴えて誕生した。そして、同年12月にマクリ大統領の政権が誕生したのである。
マクリ大統領が最初に取り掛かったのは公共支出のコントロールであった。その一貫として、水道代、ガス代、電気代、乗り物運賃はフェルナンデス政権下でポピュリズム主義から料金の値上げを長く据え置いていた。その影響で、その負担が政府には巨額になっていたのだが、それを値上げした。
マクリはその値上げを段階的にすべきだったのであるが、一挙に値上げした結果、水道代375%、ガス代300%、電気代は一部700%、乗り物運賃100%という、国民にとっては許しがたいまでに価格が上昇することになった。
この値上げによってブエノスアイレスで市民の生活費は、ひと月818ペソ(3930円)ほど出費の増加を余儀なくさせらており、それはインフレを6%~8%上昇させることに繋がると言われている。結果として、貧困層を前政権時の30%から34.5%に増加させることにもなったという。(参照:「BBC」)
それでも、公共支出の大幅な削減は避けていた。その理由は、2017年に総選挙を控えていたからで、労働組合や企業連合との摩擦は避けたいとマクリは望んでいたからであった。
ラテンアメリカではGDPで3位、そして1世紀前は米国と並んで世界で最も豊かな国とされていたアルゼンチンが5月8日、IMFに支援を要請した。
政府は500億ドルを視野に入れているが、まずは200億ドル(2兆1600億円)から300億ドル(3兆2000億円)を要請するとされているが、5月9日の時点では確認されていない。(参照:「
過去に8回のデフォルト
マクリ政権で汚名返上なるか?
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