ふるさと納税。豪華特典競争はどこまで進む?

ふるさと納税 実質2000円の負担で地域の特産品など豪華特典を受け取ることができるとあってブームになっている、ふるさと納税。そうした動きに呼応してか、各自治体の特典も競うように豪華の一途を辿っている。ふるさと納税に詳しい昭和女子大学准教授の保田隆明氏は、次のように解説する。 「ちょっとした“高還元率競争”の趣ですね。先頃も、宮崎県都城市が肉や焼酎などを特典に加えたところ、2日間で2500万円を集めました。1万円以上の寄付で8000円相当の特典なので、還元率は実に80%。還元率50%が一般的であることを考えると、突出した高さです。最近では、ふるさと納税を行う自治体も先発組と後発組に二極化しています。前者はブームの煽りを受けて特産物のラインナップが追いつかず、安定供給の面で問題を抱えつつあります。一方、後者は乗り遅れを取り戻そうとして、いたずらに特典を豪華にする傾向もある」  収入や寄付額にもよるが、ふるさと納税で寄付したお金は住民税控除などで相殺され、実質的に自分が住む自治体から寄付した自治体へ税金が移動するのと同じ。よくできた制度のように思えるが、問題も起きているとか。 「ふるさと納税を実施する人の約半数は首都圏在住なので東京、神奈川、千葉、埼玉にとっては本来、納められるべき税金が流出してしまい、不公平感を募らせていますね。また、特産物を提供することで、地域の農業振興にメリットがあるとされていますが、実際にはいくつかの特定の個人農家に特産物の供給を頼っているケースもある。これは農業や産業ではなく、特定の個人が潤っているだけですからね。本当に地域振興にお金が活用される仕組みも必要なのではないでしょうか」 <取材・文/HBO取材班>
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