ウーマンラッシュアワー・村本大輔は社会風刺芸人なのか否か

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 最近の芸人の中でも、ウーマンラッシュアワーの村本大輔ほど毀誉褒貶の激しい人物はいない。もともと、SNS上で一般人にも容赦なく噛みつき、罵詈雑言を浴びせる「炎上仕掛人」として有名だった。  そんな彼が、お笑いファン以外の多くの人から注目を集めるきっかけになったのは、2017年12月17日放送の『THE MANZAI』(フジテレビ系)で社会風刺ネタの漫才を披露したことだった。原発問題、沖縄の米軍基地問題などを真正面から取り上げたその内容が世間に衝撃を与えた。  芸人がテレビでこの手の社会風刺的なネタをやることはあまりない。特に、原発問題などの扱いが難しい問題を取り上げることはほとんどないと言ってもいい。村本がそれをやってみせたことで、世間では称賛の声が相次いだ。  ところが、その後、事態は急変した。1月1日放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)に村本が出演した際、憲法9条の解釈をめぐって井上達夫教授ら知識人たちと議論が交わされた。  そこで村本が「中国に攻め込まれて命を失うぐらいだったら尖閣諸島を明け渡せばいい」という趣旨の発言をした。いわゆる「非武装中立」に近い立場を表明したのだ。すると、ほかの出演者たちから無知を責められて袋叩きに遭ってしまった。  また、同じ番組の中で「(沖縄は)もともと中国から取ったんでしょ」と明らかに間違っていることを言ってしまったため、視聴者からも「さすがに無知すぎる」などと非難の声が殺到した。  「社会風刺をする芸人は偉い!」ともてはやされてから1か月も経たないうちに、「無知な芸人は恥を知れ!」とボコボコにされた。村本に対する世間の評価の変動ぶりは、仮想通貨並みの激しさだ。村本のやっていることをどう捉えればいいのか、以下に私見を述べたい。  ウーマンラッシュアワーが『THE MANZAI』で演じた漫才が世間に与えた衝撃は、2つの要素が混ざり合ってできていると思う。  1つは、現政権に批判的な考えを持っている人が、自分たちの意見を代弁してくれる存在として彼らを支持したということ。もう1つは、特定の政治思想を持たない一般人が、単にテレビのゴールデンタイムで原発ネタなどのタブーとされている話題に触れたこと自体を面白がっていたということだ。
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どうして芸人が言うことをいちいち真に受けるのだろう
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