「病気で休職しても、今のキャリアを手放したくない」外資コンサル女子の本音<産業医に聞け!>
こんにちは、産業医の武神健之です。
今回は読者の方からいただいた相談にお答えさせていただきます。
実際にお会いして面談しているわけではございませんし、教えていただいている以上の内容や、相談者の企業文化を知っていることもないので、あくまで参考までにしていただけますと幸いです。
相談者:外資系コンサルティング業、30歳女性Aさん
「有名国立大学から、新卒で外資系コンサルティング会社に入社して8年になります。ここ最近、体調が優れません。夜眠れない日もあります。
私はもともと責任感が強く、難しい仕事でもしっかりとやり抜きたいと思っています。しかし一方で、他人に負けたくない、今のキャリアを簡単に手放したくないという気持ちが、足かせになって、ストレスや強迫観念を感じているのかもしれません。
もちろんやる気はありますが、休職という考えもアタマをよぎります。しかし、社内にも知れ渡るのが怖く、決断できず悩んでいます。どうすればいいでしょうか?」
産業医の処方箋
いつもお仕事お疲れ様です。
ご相談どうもありがとうございます。Aさんは、同世代に比べて年収も倍近いご職業、いわゆるハイスペック女子ですね。その典型的な特徴として、周囲からの高い期待に応えようと無意識に頑張ってしまうこと、期待に応えられない自分を受け入れられないという価値観などが、短いご相談文章からも垣間見ることができてしまいます。
ご相談にお答えさせていただく前に、Aさんがこのまま仕事し続けるとどうなるか、勝手に、簡単に未来予想をさせていただきます。
まず、あと数年は同級生も未婚者が多くいるので、働くことに悩みつつも違和感はさほどなく過ごせるでしょう。勤めている会社も年収も、同級生からは羨ましがられるでしょうから、未婚もハードワークも耐えられます。
しかし、30代中頃から既婚の同級生が増えてきます。同窓会や友人たちとの週末の会食時にそのことに気づき始めるでしょう。そして、結婚後急に所帯染みてしまった友人や、経済的理由からランチはきてもディナーにこなくなる同級生をみて、独身で働き続ける自分を自分で説得するかもしれません。「私は結婚しないでよかった(あーはなりたくないからね)」と。
Aさんがアラフォーになる頃、同級生が集まれば話題の中心は、おしゃれやグルメやワインではありません。子育てです。Aさんは西松屋やアカチャンホンポの話には何も感じなくても、有名幼稚園や小学校へのお受験話を聞くと、なぜか“負けた”、“足りない”感を覚える自分に気づきます。
そして、次第に仕事以外で付き合うのは、未婚の友達となります。おしゃれやグルメやワイン、海外旅行の話などで盛り上がることができるのですが、ときにマウンティングする人もいます。そのようななかで、こちらのお付き合いも決して学生時代からの友人同士のリラックス感が得られる居心地がいいばかりではないことに疲れてもきます。
そのような人間関係から逃れるように仕事に熱中する人もいるでしょう。婚活を始めるかもしれません。
40代、自身のホルモンバランスの変化に気がつくと、自然妊娠率の低下や高齢出産のリスクなど生物学的な限界を悟り、メンタルヘルス不調をきたすリスクが最大に達します。でも、きっと大丈夫。それを乗り越えた50代のAさんは、結婚や出産を“あきらめた感”よりも“ふっきれた感”をまとっていると思います。
だってAさんは、ハイスペックだから。
Q.外資系コンサルのキャリアを手放したくない
A.偏った価値観を一度リセットしてみては?
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