中国のAI犯罪者追跡システム「天網」に物議……2000万台の監視カメラとDBが連動
2017.10.01
最近、中国・都心部の様子が映された約9秒のとある動画がインターネット上にUPされ、ネットユーザーたちの論争の的となった。動画内では通行人、バイク、自動車などを監視カメラが徹底的に追跡。「男性-40歳-黒のスーツ」、「白-SUV」など詳細なキャプションを添える姿が映し出されていた。 しばらくすると、その動画の“真実”が明らかになった。動画の正体は、中国公安当局が2000万台にもおよぶAI監視カメラをベースに構築した犯罪者追跡システム「天網」のキャプチャー動画だったのだ。 中国国営放送「CCTV」は過去に、習近平国家主席の業績を公表するドキュメンタリー番組で、天網の存在を紹介したことがある。曰く「(同システムは)国民の安全を守る『目』の役割を果たしている」というのだ。しかし、中国ネットユーザーたちはそれを信じていない。「安堵感」よりも、ジョージ・オーウェルの小説「1984」に登場する「ビッグブラザー」が出現したとして「恐怖」を感じているという。反腐敗・反犯罪を標榜した中国が、2015年から構築を開始した天網は、動くものを追跡・判別するAI監視カメラと、犯罪容疑者のデータベースが連動したシステムとなっている。AI監視カメラにはGPS、顔認識装置が取り付けられており「信号を無視した車」、「いきなり走り出す通行人」などを捕捉した後、その姿を拡大して“認証”をはじめる。もし対象が指名手配者リストに載った人物だと判明すれば、即座に警報が鳴る仕組みだ。 中国の一部の地方公安当局では、この天網を通じて指名手配者を検挙した“成功例”を報告しているのだが、中国のネット上では「天網があるのに、なぜ多くの子供がいまだ誘拐されているのか」「(すべて)政府の監視下に置かれプライバシーがない」など批判が続出しているという。仏国際ラジオ(RFI)も、「監視カメラ2000万台で構成された監視網の存在は、国民を保護するという名分の下、プライバシーを侵害している」と批判している。2015年から構築されていた犯罪者監視システム
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