美味しいか美味しくないかは、食べた相手の眉間にシワが寄った後の微表情でわかる

美味しいか美味しくないか

眉間にシワが寄ったからといって、「まさかマズイのでは……」と不安になるのは早とちり

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。  みなさんは、人が食べ物を食べている様子を観察したことがありますでしょうか?「お口に合いますでしょうか?」と接待の席で先方の顔を伺うことがあるかも知れません。「これ美味しいね!」「なんかクセない?」と感想を言いながら、友人との食事の席で相手の表情を観ることもあると思います。  個人的には、赤ちゃんが食べ物を口にしているときの表情を観察するのが私は好きです。「あ、眉が中央に引き寄せられている…もしかしたら、この食物は人生初なのかな。このあとどんな表情に変化するだろう」なんて考えながら、観ているのが好きです。  そこで本日は、表情と味覚との関係について紹介したいと思います。私たちはどんな味に対してどんな表情をするのでしょうか?目の前の人の味覚世界をより理解できれば、今よりもずっと食事経験というものが楽しくなるかも知れません。  次のような実験がなされました。甘味・酸味・塩味・苦味・うま味のするそれぞれ30mlの水溶液に20mlの水を混ぜた全部で50mlの液体と50mlの水が用意されます。6種類の液体の味見を実験参加者にしてもらい、9段階で感じる味の強さを評価してもらいます。表情分析アプリと人間の観察者によって、味見をしているときの実験参加者の表情が分析されます。  実験の結果、わかったことは次の通りです。  全体的に言えることは、①甘味・酸味・塩味に関して、味が強いと感じるほど、表情筋の動きが強く動き、②全ての味に対して「ある程度、味を感じる」と答えた実験参加者の表情には「唇がプレスされる」「口角が引き下げられる」「口が開かれる」という動きが観られる、ということです。①の結果は直感的に理解できます。②の動きは、味見をする、味を確かめるときのベースとなる動きである可能性が指摘されています。  それでは個別の味と表情との関係はどうでしょうか?
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基本味―甘味・酸味・塩味・苦味・うま味―の表情とは?
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