【株の裏道】知られざる地方の優良銘柄――近畿・北陸編
2017.07.26
東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の人口が3500万人を超え、より東京一極集中が進む日本。だが、地方に目を向ければ、そこには知られざる優良株が隠れていた。全国の銘柄を知り尽くした投資のプロが注目銘柄を厳選紹介!
伝統産業が息づいているのが地方の特色。歴史と技術に基づいた老舗銘柄に注目だ。
たとえばレオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト佐々木靖人氏が注目企業に挙げたのは富山県の「朝日印刷」。主な事業は市販薬のパッケージや取扱説明書の印刷、デザインプロデュースだ。富山県といえば薬売りが有名だが、事実、医薬品産業が盛ん。人口あたりの生産額や製造従事者数は全国トップだとか。
「市販薬の箱や説明書というのは非常にレギュレーションが厳しく、これに対応できるのは、技術や設備のある限られた印刷会社のみ。また、朝日印刷は市販薬のパッケージデザインも手がけており、独自のノウハウを蓄積しています。今後、高齢化社会の進展に伴って市販が解禁される薬も増えていくと、それも追い風になるでしょう」(佐々木氏)
はたまた、日本創生投資CEOの三戸政和氏の挙げる京都府の「村田製作所」は、今や多くのiPhoneの部品を手がけるセラミックコンデンサの世界的企業として有名だが、もともとは陶器製品を製造する工場だったとか。
「創業当時には、まさか半導体技術へつながっていくとは思ってもいなかったでしょう。今後IoTが進んで電球もネットにつながるような状態になると、そこかしこに村田製作所の部品が使われるようになるかもしれません」(三戸氏)
京都府の宝ホールディングスはあの「宝酒造」だが、ビジネス手法が独特。
「海外で日本食店の開業支援をするとともに、自社製品を置いてもらうことで販路を拡大。ここ数年、海外での業績を伸ばしています。非常にユニークな手法です」(佐々木氏)
また、「ノーリツ鋼機」は写真処理機器メーカーだったが、「今やM&Aに力を入れて投資会社のようになっています。いわば“和歌山のソフトバンク”という様相」(三戸氏)だとか。
投資家ブロガーのかぶ1000氏は名証二部上場のまさにザ・地方銘柄「太陽化学」に注目。
「食品関連は、不況でも下落しにくいという強みがあります。同社はPER9.7ですから、食品関連にしては割安。また、最近株主優待を取り止めて、配当のみにしぼり、配当額をアップしました。方針転換の裏に、何かしらの決意があるなら……たとえば名証二部から東証へ上場すれば、知名度&株価のアップも期待できます」
【佐々木靖人氏】
レオス・キャピタルワークスブルー・マーリン・パートナーズ入社後、企業の戦略立案、IRコンサルティングに従事。’09年レオス・キャピタルワークス入社。ヘッジファンドを経て現職
【かぶ1000氏】
個人投資家・ブロガー中学生のときから株を始めた生粋の株式投資家。バリュー株への投資を得意とし、累積利益は3億1600万円を超える。ブログ「かぶ1000投資日記」を運営
【三戸政和氏】
日本創生投資CEOSBIインベストメントにて、投資先に経営参画しながら、成長戦略、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行う。兵庫県議会議員を経て現職
― 優良地方銘柄成長力がヤバい ―
北陸・近畿地方
「和歌山のソフトバンク」と海外支援で販路拡大中の老舗酒造メーカーも注目
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