【株の裏道】知られざる地方の優良銘柄――北海道・東北編
2017.07.18
東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の人口が3500万人を超え、より東京一極集中が進む日本。だが、地方に目を向ければ、そこには知られざる優良株が隠れていた。全国の銘柄を知り尽くした投資のプロが注目銘柄を厳選紹介!
ドミナント戦略で勝る小売・流通業の成長は、地方のキーワードでもある。
「地方全般に言えることですが、かつてはイオンなどの総合スーパーが席巻していました。しかし、現在はロードサイド出店で苦戦しています。背景にあるのは、クルマの必要ない駅前への回帰。一方、地元型の店は小回りが利くので、住宅地、都市部への出店を進めています」(日本創生投資CEOの三戸政和氏)
北海道の地元型スーパー「アークス」は、駅近出店を続けることでイオンなどの統合スーパーを押しのけ、北海道・青森・岩手でトップシェアを誇る。またドラッグストア「薬王堂」は岩手県中心に東北5県に集中展開する注目株。
「稼いだキャッシュを、先行投資としてM&Aや海外進出などへ積極的に投入するような地方企業は、今後も面白い展開があると思います」(三戸氏)
こうしたM&Aによる拡大再生産は、地方におけるトレンドのひとつ。投資家ブロガーのかぶ1000氏が選んだのは、やはりM&Aで大型化した「ホクリヨウ」。同社は北海道内の鶏卵シェアの5割を握る。
「鶏卵業界は中小企業が多いなか、M&Aによる大型化へ踏み切りました。投資信託の資金も6.3%と時価総額に比してかなり多く、上場3年目と若いながらも注目されているようですね。本州への進出も検討中とのことで、伸び代も高いと見積もられているのでしょう」
福島県で挙がったのは、いずれも逆境を乗り越えようとする企業だった。
かぶ1000氏の挙げた「常磐興産」は、総合レジャー施設「スパリゾート・ハワイアンズ」の経営母体。
「本社は震災で大打撃を受けたいわき市。にもかかわらず、ちゃんと黒字経営なんです。テーマパーク系は大手以外苦戦しているなか、これはすごいこと。優待利回りが6%オーバーなので、優待銘柄として私も所有しています」
ラーメン幸楽苑の「幸楽苑ホールディングス」を挙げたのはレオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト佐々木靖人氏。昨年10月、ラーメンに異物の混入事件があり、客足が遠のいていたが……。
「現在はセントラルキッチン方式による品質管理を取り入れたり、ラーメンを出店した地域独自の味に仕上げたり、といった改善策が当たり、客足が戻ってきたようです。ロードサイド店を小規模にして営業時間も短くするなどの経営改革にも着手しており、今後の回復が期待できそうです」
【佐々木靖人氏】
レオス・キャピタルワークスブルー・マーリン・パートナーズ入社後、企業の戦略立案、IRコンサルティングに従事。’09年レオス・キャピタルワークス入社。ヘッジファンドを経て現職
【かぶ1000氏】
個人投資家・ブロガー中学生のときから株を始めた生粋の株式投資家。バリュー株への投資を得意とし、累積利益は3億1600万円を超える。ブログ「かぶ1000投資日記」を運営
【三戸政和氏】
日本創生投資CEOSBIインベストメントにて、投資先に経営参画しながら、成長戦略、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行う。兵庫県議会議員を経て現職
― 優良地方銘柄成長力がヤバい ―
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