気分はまるで食堂車!? JR神田駅に誕生した「神田鐵道倶楽部 feat.日本食堂」に行ってみた

 ブルートレインの廃止が進み「夜汽車の食堂車」が過去帳入りするなか、神田駅に本格的な食堂車メニューを提供する店が誕生した。  その名は「神田鐵道倶楽部 feat.日本食堂」。運営するのはJR東日本グループの飲食事業子会社「日本レストランエンタプライズ」(NRE)で、年配者にとってはかつての社名「日本食堂」と言った方が馴染み深いであろう。

神田鐵道倶楽部

 NREは1938年に列車内食堂や駅構内食堂を運営する「日本食堂」として設立。もともとは上野精養軒、みかど、水了軒などの共同出資によるものであったが、現在はJR東日本傘下となっており、1998年の創業60周年を機に社名を「日本レストランエンタプライズ(NRE)」に変更。駅構内での飲食店経営や車内販売をおこなうほか、駅ビル「Dila 西荻窪」や高齢者福祉ホームを運営するなど事業多角化を推し進めている。  6月1日に開店した神田鐵道倶楽部はロゴマークに往年のブランド「日本食堂」を掲げ、「鉄道ファンの新たな憩いの場」をテーマに運営される。NREが本格的な「食堂車メニュー」を提供する店舗は鉄道博物館でも人気を呼んでいたが、駅構内でこうした店舗を開設するのは初のことだ。

カンテラ、網棚、会計端末…心憎いまでの「鉄道演出」

 開店から数日が経過した6月のある日、実際に店舗へと足を運んでみた。  神田鐵道倶楽部があるのは神田駅北口の改札向かい側、地下鉄乗り換え口前のかつてカレーチェーンが出店していた場所。徒歩で来店する場合は、中央通り側から神田駅構内に入ってすぐになる。目印は切符を模した看板だ。入口には昭和44年の東北本線の時刻表が掲げられ、旅情がかき立てられる。当時は在来線の特急列車においても食堂車が活躍していた。  店内に入ると13席のカウンター席が並ぶ。各席は1号車、2号車…と呼ばれるため、さながら「全13両編成」といったところか。座席には鉄道車両でお馴染みの青色モケットが敷かれる。  壁や天井には蒸気機関車のナンバープレートや行先案内板(サボ)、国鉄時代の路線図、信号機などが飾られるほか、荷物置き(網棚)やコート掛けなどの小物も鉄道車両のものが使われている。 ⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=145600  さらに、陳列棚として車内販売で使われているワゴンが用いられ、会計には車内販売でお馴染みの携帯型会計端末「ハンド・ヘルド・コンピュータ」(HHC)を導入。店内を見渡すと、このほかにも行路表差し(運転席で運転士用の時刻表を掲示する板)を用いた案内看板や標識灯、カンテラを用いた照明、駅構内の掲示を再現したトイレ案内などが目に入り、あらゆるものを舞台装置とすることで「鉄道の世界」を再現するというNREのこだわりが感じ取れる。
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懐かしの「食堂車メニュー」
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