国策捜査か? 職員のスマホさえも問答無用で取り上げた森友学園への家宅捜索

売買価格が8億円から大幅に値下げされた経緯や、財務省による書類破棄、大阪府による不可解な学校設立認可などの疑惑は何一つ明らかになっていない(撮影/菅野完)

 19日に行われた森友学園への強制捜査。大阪府内の籠池泰典前理事長の自宅や学園事務所、系列保育園、長男宅など計5か所へ家宅捜索に入った。  テレビニュースでは大量の段ボール箱を運ぶ姿のみが放映されるのみ。特捜部がどのように動いているのか、視聴者にとっては気になるところである。  今回、捜索に立ち会った塚本幼稚園の女性職員がガサ入れの実態を明かしてくれた。 「そもそも、あの日は従業員がヒアリングを受けることになっていたんですよ。ちょうど5時半から理事会があったので、6時くらいになると聞いてたんですけど、どうも様子がおかしい。園側が『報道陣も沢山集まっていて、報道されるのがイヤなので今日は止めてください』と伝えたみたいですが、幼稚園の入口に張り付いて帰ってはくれません。その時、初めて強制捜査だと気づきました」  幼稚園の外にいた取材陣は、検察官が携帯電話を片手に問答している様子を目撃している。間近にいた新聞記者によると検察官は「今すぐ、ここを開けてください。そうでなければわれわれは乗り越えてでも入りますよ」と電話口で叫んでいたという。  午後7時4分に2名の捜査官が、ほどなく7名ほどが園内に入っていった。 「まず検察の女性職員から身体検査を受けました。パンツのなかまで見るわけではありませんが、上から下まできっちりと触られるなど、かなり厳重でしたよ」  幼稚園の一職員であっても、まずは疑ってかかるというのが特捜のやり方だ。  ほぼ同時刻に系列保育園にも大阪地検の係官が到着したのだが、保育園の従業員は帰宅してしまっていたため、なかには入れない。 「検察の人が『保育園の先生に電話を掛けてください』と命じました。理事長が渋々電話を掛け、つながったところで検察官が電話を取り上げ、『大阪地検です。至急保育園の方へ戻ってください』と言ったんです。絶対に断れないような厳しい口調でした」  ほどなく保育園の方も職員が解錠し、特捜部員がなだれ込んだ。
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稲田大臣の名刺が出たとき、捜査員は動揺した
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