保守党大敗の英国総選挙。「歩く屍」と英紙で酷評されたメイ首相の行く末

photo by Policy Exchange via flickr (CC BY 2.0)

<「一人歩く女性の屍(a dead woman walking)」>だと、6月11日付ロンドン紙『Evening Standard』で表現したのはキャメロン前首相の政権下で財務省を務めたジョージ・オズボーンである。それはメイ首相を指しての表現であった。更に彼の記事は、<メイ首相は数日内に辞任に追い込まれるであろ>と指摘した。  キャメロン政権が順調に進んでいれば、オズボーンは同首相の次期後継者と目されていた。しかし、Brexitの勝利で、キャメロンは辞任。オズボーンはメイ首相から信認を得ることが出来ず、入閣を果たせなかった。そして、彼は今まで経験したことのない報道分野に籍を置くことを決め、『Evening Standard』の編集長に就任したのである。  その彼が、今回の総選挙の結果、メイ首相が首相のポストを今後も維持することは不可能であるということを述べたのである。  労働党のコービン党首も<英国人は数か月以内にまた投票するようになる>と述べたことをスペイン紙『El Pais』が6月11日付にて報じている。  スペインの主要紙はどこも次期総選挙のことになると、保守党内ではメイ首相が次期選挙の指揮を取ることは望まないという意見が主流を占めていると伝えている。即ち、それはメイ首相の首相としての任期は間もなく尽きるということを意味する。

四面楚歌となったメイ首相

 メイ首相はもともと日和見主義者で、首相になる数日前までBrexit に反対していた人物である。ところが、キャメロン首相から後継者として指名された途端に、Brexit支持者に変身。しかも、党内のHard Brexit支持派議員の影響を受けて、彼女もHard Brexitを主張するようになった。  そして、Hard BrexitをEUとの交渉で押し通すには議会で保守党の議席数が圧倒的に優位に立つことが必要であり、また選挙で圧倒的な勝利を収めれば、彼女自身の地位も党内で盤石としたものになる。そのような構想を描くことが出来たのは、保守党と労働党の支持率の開きは20ポイント以上あったからである。  この両党の支持率の開きに基づいて、次期総選挙まで3年の余裕があるのに、敢えて総選挙に踏み切ったのであった。その結果はメイ首相が期待していたのとは180度反対で、保守党は過半数の議席を失い、彼女が今後も党首として存続して行くことに党内で不信が生じるのである。  世論調査「Conservative Home」によると、<保守党党員1503人からの回答で、59.5%の党員は彼女は辞任すべきだ>という意見で、一方<36.6%が彼女がまだ継続すべきだ>という意見に分かれていることを報告している。彼女は辞任すべきだという意見が過半数を超えているということは考慮されるべき指標である。(参照:「El Confidencial」)
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後任として名が挙がるのはあの男
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