約2年にわたる宇宙飛行を終えて地球に帰還した「X-37B」 Image Credit: U.S. Air Force
宇宙戦闘機か、はたまた宇宙兵器の実験機か――。
さまざまな憶測を身に受けながら、米空軍が運用する謎の宇宙機「X-37B」が5月7日、約2年間にわたる宇宙飛行を終えて地球に帰還した。
X-37Bは翼をもち、地球と宇宙をなんども行き来できる、スペース・シャトル、あるいは、スペースプレーンと呼ばれる宇宙機である。運用は2010年から始まり、今回で通算4回目の宇宙飛行で、宇宙滞在日数は合計で2085日にもなった。
しかし、そのミッションの詳細は軍事機密の中に閉ざされており、それゆえに「はたしてX-37Bは宇宙でなにをやっているのか」ということをめぐって、さまざまな推測、憶測が流れている。今回はX-37Bの特徴や米空軍の狙いなどについて紹介したい。
X-37Bは、米空軍が運用する無人の小型宇宙往還機、言葉を変えれば「無人の小型スペース・シャトル」である。
一見して最も目をひき、そしてスペース・シャトルらしい印象を与えるのは、胴体から生えている大きな翼だろう。この翼を使い、X-37Bは宇宙から地上の滑走路を目指して正確に飛行し、着陸することができる。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=140307
X-37Bは特徴的な大きな翼をもつ Image Credit: U.S. Air Force
大きさは全長約9m、高さ約3mと、おおよそマイクロバスと同じくらいで、最大の特長は、なんども再使用することができるところにある。また、比較的強力なエンジンも積んでおり、軌道をなんども変えることもできる。
またスペース・シャトルとは違って、人が乗ることはできないものの、その反面、完全無人で自律飛行することができるという特徴ももつ。
機体の背中には貨物区画があり、観測装置や実験装置などを搭載できる。この貨物区画には扉があり、宇宙空間で開くことで、搭載している装置を宇宙に露出させ、宇宙の観測や実験をすることができるようになっている。前述の宇宙から帰還できる能力とあわせることで、宇宙で実験した装置や材料などをそのまま地球に持ち帰り、地上でさらに詳しく分析することができる。
機体の開発や製造は、航空・宇宙大手のボーイングが担当し、これまでに2機が製造されている。打ち上げ、運用は2010年から始まり、今回を含め4回目となった、おそらくこの2機を交代で飛ばして運用していると思われる。
また以前は、より大型の機体の開発や、宇宙飛行士が乗れる有人宇宙船への発展なども検討されていたが、現時点でそれらの計画がどうなっているかは明らかになっていない。