「つなぎ融資の女王」こと山辺節子容疑者(62)が出資法違反容疑でお縄についてから2週間。目下、捜査関係者は詐欺容疑での立件も視野に裏付け捜査を急いでいる。
つなぎ融資の女王こと山辺節子容疑者は一緒に写るフィリピン人ホストにコンドミニアムや高級車を貢いでいたという
すでに繰り返し報じられているとおり、その詐欺の手法は手の込んだもの。建設費に1億円を費やしたという自宅に招き入れたうえで、「シャープ、ソニー、東芝などのつなぎ融資を行うための資金を融通すれば、10か月で20%ものリターンが得られる」と、言葉巧みに被害者を口説き落としていた。その被害者の1人である50代の経営者が話す。
「一流企業でも銀行の審査をパスしてから実際に融資が下りるまでにタイムラグがある。その間の資金を融通するから、元本保証なのに高いリターンを得られる、というのが山辺の主張でした。そう説明しておきながら、『やらないと損ですよ』といった執拗な勧誘はないんです。一方で、『絶対、この話は口外しないように』と言う。詐欺師ならどんどん人を紹介させて、お金を引っ張ろうとするじゃないですか?なのに『話すな』と。それも話した場所は、ホテルのロビーなどではなく、山辺本人の自宅です。それで、『これは詐欺ではなく、本当の投資案件なんだ』と思いこんでしまった……」
この被害者によれば、山辺容疑者はしきりに「これは日本を救うためのお金」と話していたという。おそらく、つなぎ融資の資金を提供することで、陰ながら日本経済を支えているという意味だろう。
「だからこそ、表に出しちゃいけないお金なんだとも話していました。表に出ると、つなぎ融資を必要としている企業に迷惑がかかる可能性があるからと。そのため、振り込みなど送金履歴が残る方法は取らず、お金はすべて山辺の自宅で手渡し。初めて現金を持って行った際には、『帯封は外さないとダメ』と怒られ、その場で100万円の束を輪ゴムでまとめさせられました。その後は、毎月1、2回は“熊本詣で”。毎月リターンが発生するので、山辺が持っている帳簿と私が持っている帳簿をすり合わせて、自分が出資したお金が今いくらになっているか確認し合うのです。税務署が調査に入っても何の帳簿か割らないように、『月日』『万円』などの単位は省略して帳簿をつけるよう指示されていました」(50代経営者)
このように証拠を残さないよう工作していたため、いまだ被害総額は不明。7000万円を違法に出資させた疑いで逮捕されたが、少なくとも「70人以上から7億円以上集めていた」とも報じられている。被害者のなかには「最大で250億円のお金をつなぎ融資で運用していた」と聞かされた人もいるだけに、さらに一桁以上被害額が増える可能性もある。
なぜ、こうも狡猾な容疑者の逮捕に至ったか?それは、“逃走資金”を掻き集めるために無茶をしたからだ。