トランプ大統領誕生後、キューバと米国の関係進展が停滞。軍部は中ロの接近を危惧

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photo by flunkey0 via Pixabay(CC0 Public Domain)

 米国の16人の退役軍人高官が国家の安全の為に、トランプ政権の誕生以来中断しているキューバとの関係進展を継続するようにホワイトハウスに陳情したという事実がスペインでは4月21日付の『EL PAIS』が明らかにした。(参照:『El Pais』)  それは書簡の形で大統領補佐官H.R.マックマスター陸軍中将に送られたものだ。その中で、彼ら軍人は<「米国政府が経済的そして政治的に繋がりをもたないとなると、その空白を埋めるべく、米国に対抗するロシア、中国、その他の国が接近を早めようとすることは疑いのないことだ」>と表明したとしている。  更に、彼らが指摘しているの<「カリブ海におけるキューバのポジションは米国に非常に近く、テロリズム、国境のコントロール、麻薬取り締まり、環境保全などの面において同盟国となってしかるべき国であり、戦略的にも非常に重要な価値をもっている」>ということである。更に、<「キューバとの関係回復を完成させることは、米国のラテンアメリカとの繋がりを再構築するのに役立ち、と同時に敵を孤立させることが出来る」>と言及しているという。

トランプ大統領以降、キューバとの関係は再停止

 トランプ大統領が誕生して以来、キューバとは如何なる交渉も持たれていないのが現状である。  彼ら軍人は大統領補佐官が同じ軍人であるということから、共通した概念を持っていると判断してこの書簡を送ったようである。しかも、国防総省のマティス国防長官とマックマスター大統領補佐官のコンビが米国の軍事外交をリードするようになっており、トランプ大統領自身の発言力は低下していると憶測されるようになっている。  一方、ホワイトハウスの見解は、オバマ前大統領が対キューバとの関係で合意したことなどを現在照査しているところであり、キューバの件はトランプ大統領にとって早急に対処するべき案件ではないと判断している、という回答をしている。
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キューバの国内事情
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