各地の大型施設が「耐震化」でピンチに……身売りするリゾートホテル、閉店する百貨店も

 昨年4月に発生した熊本地震で震度6弱の揺れを記録した大分県別府市。地震の爪痕も消えつつある中心部では、4月はじめに「別府八湯温泉まつり」が開催された。今年の祭りではディズニーパレードも開催され7万5千人が詰めかけるなど、大いに賑わった。  祭りのなか、中心部の宿泊施設もさぞかし繁盛したことだろう…と思いきや、旅館街には大きな異変が起きていた。なんと、賑わう祭りの最中であるにも関わらず、灯りの点いていないホテルがいくつもあるのである。  実は4月現在で、別府市中心部(JR別府駅周辺の別府温泉地区)にある大型温泉リゾートホテルのうち3社5館が休業中。もちろん、休業するに至った一番の原因は1年前に起きた熊本地震だった。

「別府八湯温泉祭り」が行われる商店街の先に見える「花菱ホテル」(中央右)、「ホテル清風」(HOTEL SEIFU、中央左)はいずれも休業中だ。 2017年4月2日、別府駅前通り商店街

耐震費用かさむ大型リゾートホテル、地方資本で相次ぐ「身売り」

 別府市中心部で休業中となっている大型の温泉リゾートホテルは、全て高度成長期に建設されたものだ。いずれも本館は10階建て以上の規模で、オーシャンビューの温泉を備え、非常に大きな集客を誇った人気ホテルであった。しかし、5館ともに大規模な耐震補強工事は行われておらず、熊本地震で建物の一部が損傷したこと、もしくは、被害は少なかったものの今後同規模の地震が起きた場合に安全性が保障できないことを休業のおもな原因としている。  こうした大型ホテルの耐震化対応が進むきっかけとなったのが、2013年に施行された「改正耐震改修促進法」だ。この法律では、耐震対策の早期実施を促すため、自治体が1981年以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築物の耐震診断結果と耐震化計画をまとめて公表することが義務付けられており、2016年からは各自治体で結果の公表がおこなわれている。  同法は耐震改修を義務化するものではなく、耐震改修については努力義務としているものの、宿泊施設、商業施設などといった不特定多数の客が出入りする施設は建物の安全性が保障できないと信用問題に繋がり、客足にも影響を及ぼすことは必至で、早期の耐震化工事が不可欠なものとなった。  もちろん、大型ホテルが耐震化を進めるという動きは東日本大震災を経て改正耐震改修促進法の制定前後から起きていたが、とくに九州各地では熊本地震後に「当事者意識」が働いたため、耐震改修の動きが活発化することとなった。
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外資や大手資本が買収
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