トランプの存在が南米諸国の団結を促進!? ラテンアメリカ共同市場創設の動きが加速!

La Nacion

「La Nacion」紙

 ラテンアメリカにはGDP規模で二つの重要な経済同盟が存在している。それは2013年にメキシコ、ペルー、コロンビア、チリの4カ国で設立された太平洋同盟と1991年にブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイそしてその後ベネズエラを加えた5か国によるメルコスルである。  前者は自由貿易を提唱して加盟国の各国がそれぞれ40か国以上の国と経済連携協定を結んでいる。後者は欧州連合に似て加盟国間の人の移動の自由や加盟国内での住居の購入なども容易になっている。しかし、貿易という面においては閉鎖的で、加盟国同士の利害衝突ということも起きている。しかも、ベネズエラでチャベス大統領が登場すると、メルコスルは反米色を濃厚にするようになり、中国、ロシア、イランといった国々との関係を強めって行った。  今回、米国に米国第一主義の保護貿易優先を掲げたトランプ大統領が誕生したことに及んで、早急なるラテンアメリカ共同市場の創設の必要性が問われるようになった。その目的は域内の市場経済の発展と同時に米国を抜きにした太平洋を挟んだアジアと大西洋の向こう側のヨーロッパとの取引進展を図ることを決めたのである。  その第一歩として、4月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスにて太平洋同盟とメルコスルの加盟国の外相と商業相が集まっての初会議が開かれた。<「ラテンアメリカの統合は画期的な出来事となる。その前進の為の我々の波長は同じだ」>とアルゼンチンのスサナ・マルコラ外相とチリのエラルド・ムニョス外相が述べて、相互に経済統合に向けての意欲を表明した。(参照:「La Nacion」)  この第一歩を踏み出すことになったこれまでの経緯を次に説明しよう。
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欧米志向に変貌していたメルスコル
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