金正男暗殺も平壌マラソンは平常開催。北朝鮮がイベント充実の年間計画を早くも発表した事情

通常の観光だとバス移動が多い平壌を自分の足で疾走できる平壌マラソン

 2月13日の金正男氏殺害を国家ぐるみで首謀したという疑惑の目が国際的に強まる北朝鮮だが、観光や大型イベントでは通常通り実施されるなど「私たちは正しい」と正当性を誇示するように平常を装っている。  その一つが、目前に迫っている大型イベント、平壌国際マラソン大会である。今年30回目を迎える北朝鮮を代表するスポーツイベントで、昨年、多くの北朝鮮研究者たちの予想を裏切る日本人22人を含む1000人の外国人ランナーが参加した大会だ。  今年は昨年よりもさらに北朝鮮を取り巻く状況は悪く、こんなタイミングで誰が訪朝するのかと思う人が大半だろうが、平壌マラソンの手配代理店へ確認すると現時点で日本人参加予定者のキャンセルは出ていないそうだ。  現実的には事件の影響がどれだけあるのかは、実際に大会が開かれてみないと分からないものの、特に今年の大会は昨年段階から北朝鮮側は強気なアピールをしていた。  昨年末の時点で、中国北京発のフライトが欧米人数百人の予約で埋まってしまい臨時便も含めて空席がないため今後は瀋陽からの空路か丹東からの国際列車で手配するように代理店へ通達があった。  年が明けた1月上旬に2017年大会の正式な旅費などが朝鮮国際旅行社を通じて各代理店へ伝えられた。マラソン大会へのエントリー費用は昨年と同じだが、滞在費は大会期間特別料金として値上げとなるなど強気な設定だった。さらに、宿泊ホテルも通常、外国人が宿泊する「高麗ホテル」と「羊角島ホテル」という特級ホテルだけでは足らず、「西山ホテル」と「青年ホテル」という1級ホテル(特級>1級)を初めて登場させて4か所となり、1月中旬の時点で、昨年の外国人ランナー1000人を超えるランナーが集まる見込みだと伝えられていた。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=133765

日本語に翻訳されて配布されたマラソンコース

 マラソン大会自体にも今年は多少の変更が見られる。たとえば、多くのランナーが変更して欲しいとの声があったフルマラソンの制限時間4時間が4時間半と30分延長された。また、後半は飽きてしまうと言われていた10kmのコースを4周するコースも20kmを2周するコースへ変更。改修工事のため昨年は変更された競技場も一昨年までの景色がいいと好評の「凱旋門」に隣接する「金日成競技場」へ戻されるなど北朝鮮側が参加者の不満の声を吸い上げ改善しようとする動きも感じさせる。
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年間イベントカレンダーをいち早く発表
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