三越伊勢丹HD社長、突然の退任劇――爆買い失速、免税店失敗……今後の新たな一手とは?
2017.03.09
百貨店の雄・三越伊勢丹が揺れている。
3月7日の取締役会で、2012年よりグループを牽引してきた大西洋社長(61)が、任期途中の3月31日で退任することが発表された。後任の社長には、伊勢丹出身で、現・経営戦略本部長の杉江俊彦取締役専務執行役員(56)が就任する。また、三越出身の石塚邦雄会長(67)も、6月の株主総会で退任する予定だという。
「任期途中」という異例の退任劇の背景には、一体なにがあったのであろうか。
大西氏は1979年に伊勢丹に入社。2009年伊勢丹社長執行役員となり、2012年2月1日に三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長に就任した。
就任後は、全国各地に中~小型店の出店を進めるとともに、不振を極めたJR大阪三越伊勢丹(2011年開業)を、専門店と伊勢丹の売場をミックスした「ルクアイーレ」に業態転換。さらに、CCC(TSUTAYA)との提携(Tポイントカードの導入、ルクアイーレへの「蔦屋書店」出店)、旗艦店への「空港型免税店」出店など訪日外国人の取り込みも推し進めてきた。
このうち、中小店舗「MIプラザ」や「イセタンミラー」などの出店については、百貨店でも好調な「化粧品」「服飾雑貨」や「銘菓」「贈答品」を中心とした品揃えで好評を博し、現在も出店が続いている。また、CCC(TSUTAYA)との提携は「高級志向」の三越伊勢丹としては異論もあったというが、客層の拡大を図るという面からは一定の効果を上げていた。
しかし、その全てを打ち消すほどの大きな問題が銀座三越の8階で起きていた。
小型店出店、Tポイントカード導入……経営改革のなかでの退任劇
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