マイナス金利はデフレ政策!支離滅裂な日銀の金融政策
2016.12.24
そもそもマイナス金利は”まやかし”でしかない!
日銀は、トランプ効果にホッと胸をなでおろしていることでしょう。なにせ、’16年は日銀にとって試練の年でした。1月にマイナス金利をサプライズ導入しましたが、ご存じのとおり黒田日銀総裁の思惑通り円安・株高とはならず、むしろ急激に円高・株安を引き起こしてしまいました。
そもそもマイナス金利は“まやかし”でした。日銀当座預金残高はマイナス金利が導入された時点で260兆円。そのうち210兆円に従来通りプラス0.1%の金利が付与され、40兆円がゼロ、残り10兆円にマイナス0.1%というのが真相だったのです。年間80兆円の国債買い取りを継続するので、当座預金残高も80兆円増える見込みですが、1年たってもマイナス金利が適用されるのは10~30兆円。“誇大発表”の化けの皮がすぐにはがれて、円高・株安を招いたのです。
日銀は勘違いをしているのですが、マイナス金利そのものは強烈なデフレ政策です。金利がマイナスになるということは、「現金の価値を最も高めること」に繋がるからです。当然、円高政策でもある。9月の「総括検証」では10年までの国債利回りをすべて0%程度に釘付けさせるよう、長期国債の買い入れを行うとしました。しかし、金利をマイナスないしゼロに釘づけにすることは前述したようにデフレ政策。これでは、日銀が目標とする2%のインフレ率の達成は遠のくばかりです。ブレーキ(=デフレ)とアクセル(=インフレ)を同時に踏み込む支離滅裂な政策なのだから、まったく意味がありません。
ただ、評価できる点もありました。それは、事実上の“緩和縮小”に動いたことです。9月30日以降、日銀は残存年数5年以上の国債買い入れ額を月間で合計2兆2000億円も減らしています。「国債買い入れを減らしますよ」と言ってしまうと、市場が混乱するのは間違いないので、長期金利の誘導目標を設定して「長期金利が跳ね上がらないように国債の買い入れを行う」とすり替えて、こっそりと緩和縮小を実現したのです。
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