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7月にグラウカス・リサーチグループという米国の空売りファンドが日本に上陸し、27日には「伊藤忠商事が不正会計をしている疑惑あり」とのレポートを発表した。
伊藤忠商事といえば、今年の1月に「総合商社のトップに立った」というニュースが経済誌を騒がせた。三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅というほかの大手総合商社を純利益ベースで抜き、首位になったというのだ。それに関連して、岡藤正広社長に躍進の理由を問うインタビューや、苦戦した三菱商事、三井物産の経営幹部にコメントを求めた記事も多数出た。
確かに「伊藤忠が純利益ベースで首位になった」のは事実だが、5社の経営指標をつぶさに比べると、違った実態が見えてくる。
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まず純利益を比較すると一目瞭然だが、三菱商事と三井物産は赤字である。残る三社のうち住友商事も丸紅もほとんど利益は出ていない。要するに、今季の決算は最低限の黒字さえ出していれば、トップになれる勝負であり、単なる他社の自滅なのである。もちろん、これは伊藤忠の岡藤社長も認めるところだ。
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他社自滅の理由は多額の減損損失だ。減損とは、保有した資産の評価額を下方修正した際に生じるものである。伊藤忠以外の4社は資源に多額の投資を行っていたが、その価格が下落したため減損額が膨らんだのだ。