都知事選で話題の“都議会のドン”は江戸時代から存在していた!?

江戸町奉行の気苦労とお飾りぶりは現代も変わらない!?(Photo by Tomo.Yun )

 7月31日、東京都知事選挙の投開票が行われ、都議会の「冒頭解散」を訴えた小池百合子氏が当選を果たした。選挙期間中は“都議会のドン”なる存在が話題にのぼり、猪瀬直樹元知事も“ドン”に大いに苦しめられたことを暴露し、剛腕で鳴らした石原慎太郎元知事さえも頭を下げたことがあったという。絶大な権力を握る首都のトップでも、思いのままにはいかないのは、今に始まったことではない。江戸時代の行政の長であった江戸町奉行も、部下の顔色を伺わなければ、業務を進めることができなかった。  都知事の前身は、戦時中の東京都長官、戦前の東京市長、東京府知事だが、明治維新の一時期に置かれた江戸府知事、さらには江戸期の町奉行にまでさかのぼることができる。テレビドラマでお馴染みの大岡越前こと大岡忠相は、町奉行を20年も務めたが、実は歴任者のほとんどは数年の任期で交代していた。さらに、知行3000石(現在の貨幣価値で数千万円)の役職でありながら、大名と同等の扱いを受けていたなど、任期や給与面だけでなく、小国の国家元首と比される都知事と共通する部分が多い。
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江戸時代にもあった「利権構造」
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