太宰治が思い出を綴り、宮崎駿が着想を得た目黒雅叙園は戦前の大テーマパークだった

写真/ptrktn

2002年には883億円の負債を抱え経営破綻

「四月二十九日に、目黒の支那料理屋で大隅君の結婚式が行われた。その料理屋に於いて、この佳よき日一日に挙行せられた結婚式は、三百組を越えたという。」太宰治が、友人の結婚を世話することになり、当日までの慣れない仕切りを綴った短編『佳日』に登場するこの”目黒の支那料理屋”こそが今回取り上げる目黒雅叙園です。  目黒雅叙園は、目黒駅前の行人坂を下っていったところにある、結婚式場・ホテル・レストラン等の複合施設です。日本で最初の総合結婚式場として知られ、近年では2009年に東京都の有形文化財に指定された「百段階段」がジブリアニメ『千と千尋の神隠し』の舞台モデルとなったり、園内にある人口滝がパワースポットとして取り上げられるなど、再注目されていましたね。  なお、現在の経営形態ですが、かつて目黒雅叙園を経営していた雅秀エンタープライズは2002年に883億円もの負債を抱えて破綻、目黒雅叙園の運営は、株式会社目黒雅叙園(海外挙式大手ワタベウェディングの完全子会社)が行い、土地施設全体は外資系ファンドのラサール・インベストメント・マネージメントの特別目的会社が所有する形になっています。ちなみに、土地施設に関しては、バブル期に相当複雑怪奇な権利問題に発展したようです。 第14期決算公告:5月20日官報102頁より 当期純利益:1億8200万円 利益剰余金:2億8000万円 過去の決算情報:詳しくはこちら http://nokizal.com/company/show/id/1480316#flst
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