中高一貫私立でレベル無視して「検定外」教科書がもてはやされる背景――江藤貴紀「ニュースな事情」

「教科書不信」ビジネスの先に待っている犠牲者

 例えばB校として名指しは避けておくが、ここの中学入試での難易度は(中学受験は教育熱心な層のみが受験するので、全体のレベルが高いのを差し引いても)、非常に低い。しかし使用している教科書は検定外の体系数学と、英語のNEW TREASUREだ。  筆者から言わせればこの教材選定は、F1カーの整備と運転を普通のガソリンスタンドとペーパードライバーに行わせるような無理な行為である。大体において、文部科学省の指導要領は存在意義に鑑みてみると、児童の教育においてあんまりな無理をして、成長を失敗させないようにという配慮が間違いなくあるものなのだ。  それではどうしてこのように危険運転行為に相当するような、アウトローの検定外教科書使用が私立の学校で人気となっているのだろうか。  この問題点のヒントについて、明確にしている書籍がある。2009年に発行された瀬川松子氏の「亡国の中学受験~公立不信ビジネスの実態」(光文社新書)である。  同氏は長らく受験指導を生業としてきたが、その分析によれば中学受験及び私立中高一貫のビジネスモデルは、公立不信をあおることで成り立ってきたとされる。すなわち少子化が進んでいる中で「公立不安がなくなってしまうと、中学受験を勧める理由がなくなってしまうから」である。その上で、彼女はそれが教育像について語る姿として健全ではないという。  すなわち私立中学校及び塾などはスポンサーとなって公立学校を一方的に攻撃しているのに対して、利害当事者である私立中学校の問題点については当事者らが明らかにしない。一方で公立学校では教育委員会に対する厳格な報告義務があることから不祥事が表沙汰となりやすい――そのため、私立と公立を語る際には、優秀な名門私学と、荒れる公立というふうなアンフェアに一部のサンプルを抽出した比較がなされてきた――という。  この構造は「検定外教科書」と「検定済教科書」の違いにピタリと当てはまらないだろうか?
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私立中高一貫校の優位アピールに使われる「検定外教科書」
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亡国の中学受験~公立不信ビジネスの実態

公立不信をあおる受験産業と結託した、私立中高一貫校の実態を白日の下にさらす。

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