釈明・お詫びに「流暢な説明」はむしろ身を滅ぼすことになる!

聞き手を引きつけ、うなずかせる「間」のパワー

 ひと言話す毎に、アイコンタクトして、うなずく。複数の人に話す場合には、次に別の人に姿勢を向けて、ひと言話し、その別の人にアイコンタクトする。このような話をするだけで、聞き手を引き付けられる度合が格段に高まることが、分解スキル・反復演習の結果、わかっている。  私は、これを、「1人に対してワンセンテンス」のスキルと呼んでいる。では、このスキルを身に付けると、なぜ、聞き手を引き付けることができるのだろうか。それは、話の良し悪しではなく、極論すれば、話が流暢だろうが、朴訥だろうが、「1人に対してワンセンテンス」をして、次の人に移る際に、言葉を発しない「間」(ま)ができるからだ。その間が、聞き手に、うなずく時間を与えるのだ。  意外なことに、話下手な人の方が、むしろ、「間」をつくることに長けている。なんとも皮肉な話である。流暢な話が状況を悪化させ、逆に話下手な人が「間」という、言葉を発しないというスキルにより好転させている。そして、言葉を発しないで「間」をつくるとは、なんと簡単なスキルかと思われるかもしれない。しかしこれが、大変難しいのだ。ほとんどの日本人は、言葉を発しない演習などしたことがないのだから。 ※「「1人に対してワンセンテンス」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル5で、セルフトレーニングできます。 <文/山口博 写真/den-sen・PIXTA> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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