米FRBのイエレン議長は数か月以内での再利上げを示唆。市場では「早ければ6月中に?」と憶測が飛んでいる
昨年末には2万円に迫り、上昇トレンドを描くと思われた日経平均株価。しかしフタを開けてみれば、1万8818円で始まった株価が、2月12日には1万4865円の年初来安値をつける結果に。アベノミクスの失敗も唱えられるありさまとなったが、投資情報会社フィスコの村瀬智一氏は株価低迷の原因を次のように解説する。
「キッカケとなったのは昨年12月のアメリカの利上げです。’08年から7年間にわたるゼロ金利政策が解除されたわけですが、このように金融政策が変更されると、相場は当然ながら荒れます。利益確定を急ぐために、マーケットから資金が引き揚げられ、相場が弱くなってしまうからです」
さらに輪をかけたのが、中国経済の減速だと続ける。
「中国の景気後退は新興国をはじめとする世界経済の鈍化をもたらすため、石油などのエネルギー需要が減るのですが、一方で中東の産油国は構わずにどんどん原油を生産する。すると原油価格は下落してしまうので、相場も低迷してしまう。これも、マーケットに出回る資金量が減っている一因。本来、利上げというのは景況感の改善が反映されるものですが、アメリカだけが景気回復を主張しても、世界の他の国にはそうした状況にありません。結局、今は相場の地合いがよくないということなのでしょう」
増税再延期方針から5月末時点では多少の好転を見せているものの、市場心理が弱気であるときは、投資家はネガティブな材料により強く反応してしまいがち。株高・円安へのテコ入れが期待されたマイナス金利導入は、その典型だった。1月29日の政策発表直後から株価が下落し、2月12日には年初来安値をつけたのは前述のとおりだ。
「銀行の収益悪化が懸念されることばかりに目がいってしまい、好材料は無視され、株価は上がらずじまい。こういった投資家心理の払しょくはしばらく難しいでしょうね」
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そんな市場へのカンフル剤として期待したいのが、いよいよ8月に迫ったリオ五輪だが……。
「テレビや音響の買い替え需要増で家電販売、8Kテレビを手がけているメーカーなどの銘柄は伸びると見ています。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の分野も有望です。ただ、市場が大きく動く可能性が高いのは、むしろリオ五輪が終わってからだと思いますね。東京五輪へのカウントダウンが始まり、国内のインフラ整備や規制緩和が加速度的に進むはずなので、関連銘柄に注目したい。とはいえ、個別銘柄はともかく、市場全体を押し上げるまでにはならないでしょう」
<文/HBO取材班>