仕事上での対立関係を超簡単に解消する方法

相手を尊重できるかが対立解消の鍵

 応酬している間は、ああでもない、こうでもないと、相手の見解を否定しあうことが繰り返される。その否定しあうこと自体が、相手の反発の度合いを高める。したがって、相手を否定しないというアクションをとれば、相手の反発は和らぐことになる。そこで、相手陣営だけで検討いただくというアクションをとる。このアクション自体が、相手の検討に預けます、相手を肯定していますという、これ以上ないほどの強力なメッセージなのだ。  相手陣営に異論や懸念の洗い出しや絞り込みをしてもらう。一見、とんでもない事態になったり、さらに手をつけられなくなったりすると思う人も多いだろう。しかし、実際にやってみると、異論や懸念の幅は小さくなり、対立のレベルは低くなる。それは、相手陣営だけの検討により、相手陣営の中央値に意見が集約されるからだ。  問題は、相手陣営に任せるという、「ふんぎり」を付けることができるかどうかにかかっている。そしてそれは、相手陣営に託してもよい、相手陣営を尊重できるかどうかという自分の意識にかかっている。けっきょくのところ、対立解消の鍵は、自身の意識にあるのだ。 ※「当事者同士を対立させない懸念解消力」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル22で、セルフトレーニングできます。 <文/山口博 写真/ xiangtao・PIXTA> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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