現在のエジプトは経済面において低迷が続いている。スエズ運河が拡張されて通航料の収入増加が期待されているが、世界的な不況で船舶の通航は減少している。それに追い打ちをかけるように、昨年からのテロ活動によって安全面が不十分という印象を与えて観光収入も激減しているのだ。
まず昨年9月にメキシコ人観光客がイスラム過激派と混同されてエジプトの軍隊と警察の連合部隊によって襲撃され12人が死亡するという事件が起きた。
さらに10月には紅海に面したリゾート地シャルム・エル・シェイクで観光を愉しんだロシア人を乗せたロシアのコガリムアビア航空9268便がシナイ半島でテロ攻撃によって224人が死亡。このリゾート地は英国人とロシア人の人気のあるリゾート地であるが、この事件のあと、〈80%のホテルが閉店している〉という。(参照:『
20minutos』)
さらに、今年1月にはイタリア人学生が殺害されているほか、3月には大事には至らなかったもののハイジャック事件が起きた。昨年のロシア機の墜落によって空港での安全管理が不十分としてロシアと英国はエジプトへのフライトを中止していたが、エジプト観光当局の説得によって両国からのフライトが再開される矢先に起きたこのハイジャックで約束された安全措置がまだ不備であることが明らかになっていた。
そこに来て、今回のエジプト航空MS804便の墜落だ。これが昨年から続いている観光客の減少に更に拍車をかけることになったわけだ。