クールジャパンの海外発信基地・Tokyo Otaku Modeってどんな会社?

 9月25日、日本の文化や商品を売り込む官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が4つの投資案件を発表した。クアラルンプールの百貨店改装や、ベトナムにおける冷凍食品の流通拡大など様々な分野へ投資が行われる。メディア・コンテンツ分野では、日本のポップカルチャーの商品や情報を海外に展開するTokyo Otaku Mode Inc.(以下、TOM)に、今後3年間で最大15億円の投資が行われる。若いスタートアップ企業であるTOMは、なぜ資金調達に成功したのか。

キャリア豊富な経営陣 シリコンバレーで苦節の日々

 TOMには、事業の魅力に惹きつけられるように、錚々たるメンバーが集まっている。経営陣にはCEOの亀井智英氏を筆頭に、Webサービス「Q&Aなう」など数々のサイト運営を成功させた安宅基氏、元ガイアックスの執行役CFOの小高奈皇光氏、「比較.com」の上場に貢献したエンジニアの関根雅史氏ら、各分野で活躍したメンバーが揃う。  2012年2月、TOMは米国の小額出資ファンド「500 Startups 」代表のデイブ・マクルーアに事業の可能性を見出され、投資を受けるとともに、シリコンバレーのプログラムに招待された。そこでプロダクト開発にどっぷり浸かる日々を送り、事業の基礎を固める。慣れない英語に日々苦労しながらも、日本のアニメや漫画に対する人気とユーザーニーズに後押しされながら、今までにない日本発グローバルサービスとして自社サイトを形にしていく。

投資家の自宅地下で活動

 2012年夏、シリコンバレーから帰国したメンバーは、投資をしてくれた個人投資家が保有する都内の一室を借り受け、日本での活動を始める。約100m2の地下室は窓も電話もなく、四方を真っ白な壁に囲まれていた。この地下室は、地上階から下って入ると、メンバーがPCに向かって黙々と作業する雰囲気が怪しげで、まるで秘密基地の様相を呈していた。  帰国後、TOMは招待制だったクローズドの自社サイトを一般公開させる。UGC(ユーザー生成タイプ)のコンテンツを扱うギャラリーページでイラストやコスプレ写真に代表される2次創作物などを、ニュースページでオタク向けに情報記事を発信し、Facebookから世界中のファンの誘導を図り、メディア事業を活性化させる。さらに翌年2月からショップページをプレオープン。約半年後に収益の柱としてショップページのEC事業を本格化させた。  EC事業は未経験者ばかりのなか、手探りのスタートだった。それでもWebシステムはもちろん、商品の獲得営業から入荷、撮影、販売、梱包、配送まですべてを自前で手がけた。2014年冬には商品在庫が地下室を埋め尽くし、常勤メンバーも30人を超えた。メンバーは身を寄せ合うようにして作業を続けたが地下室での活動はいよいよ限界に達し、2014年2月、現在の表参道オフィスへ移転する。

集う仲間、アドバイザー

 TOMはサービスを増やす度にメンバーも増やしていった。国内SNS大手のmixi、国内ECサイトでは敵なしの楽天など大手企業で活躍した人材も集い、事業のスケールアップを支えた。シリコンバレー時代から交遊を深めたアメリカ現地のメンバーを中心に、各種サービスの英語対応にも力を入れた。  アドバイザーも経験豊かなメンバーが揃う。マサチューセッツ工科大学のメディア・ラボ所長であり「世界のトップ思想家100人」に選出された伊藤穣一氏。Apple社のモバイル広告プラットフォーム「iAd」担当副社長としてスティーブ・ジョブズを支えたアンディー・ミラー氏。そしてバンダイチャンネルの元代表取締役社長である松本悟氏など各界の著名人が名を連ねる。  実績のある優秀なメンバーが集い、キャリア豊富なアドバイザーのサポート体制も充実。さらに「Manga-Anime here」(経産省)や「Visit Japan」(観光庁)など省庁との取り組み実績もある。起業間もなくとも、クールジャパン機構から高い評価を受け、資金調達に至ったのは当然の帰結でもあった。 <取材・文/石田恒二> ― 「Tokyo Otaku Mode」はコンテンツ産業の救世主となるか?【2】 ―
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