野球と相撲の話しかしない上司にどう対応すべきか?――石原壮一郎の【名言に訊け】

Q:私の上司は、毎朝「昨日のドラゴンズは情けなかったなあ」「逸ノ城は強くなるね」といった調子で、野球や相撲の話しかしません。興味ないっての! いつも適当に流しているのに、やめてくれなくてつらいです。どうすればほかの話題を振ってくれるでしょうか。いっそのこと「野球と相撲のこと以外、興味ないんですか?」とビシッと言ってやろうかとも思っています。(愛知県・24歳男・事務職) 上司A:いい上司を持って幸せですね。もしも、AKBとももクロの話しかしない上司とか、原発の是非について毎日意見を求めてくる上司だったらどんなにつらいことか。いやまあ、相手や状況によっては、AKBやももクロの話もきっと楽しいし、原発の是非についてもしっかり語り合いたいところですが、上司との世間話向きの話題ではありません。  仮にその上司が、野球と相撲にしか興味がないとしても、それはそれでいいじゃないですか。悪い人ではなさそうです。部下と少しでもコミュニケーションを取ろうと思って、野球や相撲という無難な話題をせっせと繰り出してくれているとしたら、その気持ちを受け止めて心の中で手を合わせつつ、無難に対応するのが大人の度量であり心意気です。  それより、なぜあなたは、そこまで腹立たしいのでしょうか。インドの独立運動を引っ張ったマハトマ・ガンジーが、まるであなたのためにあるような言葉を残しています。 「弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証だ」  勝手に決めつけますが、あなたは世間話を恐れています。大人として一人前だという自信がないから、上司のことも恐れています。ビクビクしているから、野球と相撲の話しかしない上司に対して、やたらと腹を立てているように見えます。ガンジーは許すことが強さの証だと言っていますが、まずは許すことで少し強くなってみましょう。さらに、ガンジーはこうも言っています。 「他人に変わって欲しければ、自ら率先して変化の原動力となるべきだ」  野球や相撲の話が嫌なら、上司に期待するより自分がほかの話題を振ったほうが話は簡単です。試しに、サッカーやテニスの話題でも振ってみてはいかがでしょう。そうすることで初めて、世間話を振る側のプレッシャーや不安、そして相手の反応を通じて得られる喜びや悲しみなど、大人として大切なことをたくさん学べるに違いありません。

【今回の大人メソッド】話がつまらないと思ったら自分のつまらなさを疑え

相手に責任を押しつけても何も解決しないし、大人としての成長もありません。話題をふくらませられない技量のなさ、受け止めきれない余裕のなさなど、すべて自分のせいだと思うことで、つまらない話への耐性がつくし、つまらない話を有効に活用できます。 <文/石原壮一郎> いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
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