死刑囚がつくったアート。その創作の源泉とは? ギャラリーオーナーに聞いた

「検閲印」が捺された絵画

⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=93870

「無題」(北村真美・大牟田4人殺害事件)

――絵はどうやって外に出しているのでしょうか?拘置所の検閲はかなり厳しいと思うのですが。  展示会を実際に見に来ていただけたらわかると思うのですが、作品は全て拘置所が検閲し、検閲印が捺されています。例えば東京拘置所ですと青い丸、大阪だと桜紋に「大」、福岡だと「F」と書いてある検印が端の方に必ず押されています。若林一行死刑囚(岩手県洋野町母娘強盗殺人事件)が刑務官を茶化す漫画や、他の死刑囚を批判するような絵を描いていますが、死刑囚だから特別チェックが緩いということではないんですよ。ああいう作品も、基本的には許可が下りるんです。

「大当り」(北村孝紘・大牟田4人殺害事件)

――便箋や色紙に描かれているものが多いですが、画材はどうやって調達しているのでしょうか。  画材は接見交通権のある人から差し入れてもらったり、拘置所の差入店で刑務官に頼んで自費で購入したりするんですが、売店には手紙を書く材料しかありません。絵を描く上で「画材」は非常に限られていますし、拘置所によって色数の制限なども異なっています。例えば、青と黄のマーカーで塗って緑色を作っる人もいて、色々と工夫されていますね。広瀬健一死刑囚(地下鉄サリン事件など)は、ご家族の話だと差し入れの花の樹液を使っていたそうです。
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限られた画材ゆえの表現
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