タイのドックショーで日本人ブリーダーが活躍! タイから世界に挑戦

タイのショーで優勝経験もある秋田犬の鳴海。毛が白く、目も透き通っていてきれい。性格も温厚で人懐っこい

ブリーダーとして客も選ぶ

 吉田さんが最初に住んだのは、バンコクから見て今とは逆の方向にある東部のチョンブリ県だった。しかし、犬の鳴き声などで苦情が出てしまい、引っ越しを余儀なくされる。そんな折、ほかのドッグ・ブリーダーが売りに出した今の土地を手に入れ、2年前に移住した。本格的なブリーダーとなったのはここからであった。  吉田さんがタイでブリーダーになってよかった点のひとつは「客を選べること」だという。日本では「客は神様」といった態度を取る人もいるが、タイ人にそんな輩はまずいないし、そもそも店側の立場の方が強い。 「バンゲーオがほしいという人とは事前に会うようにしています。そのときにその人の人となり、うちの犬たちと触れ合ったときの雰囲気などを見て顧客とするかしないかの判断をしています。心配だと思えばはっきり断りますし、相場を遙かに超える金額を提示し、暗にお断りであることを示して帰ってもらうこともあります」  他の犬種も同様で、特に南国においてはシベリアンハスキーの扱いは大変だ。大型犬を飼えるのは富裕層だけなので、エアコンなどは当然ある家が引き取るが、その後ちゃんと面倒見られるかなどもこの時にしっかり判断するという。

愛犬「マナーオ」、世界に挑戦

 吉田さんの元で育てられ、タイを席巻したマナーオはいよいよ世界進出する。 「今年6月にモスクワで開催されるワールド・ドッグ・ショーに遠征します。その後も8月のベルギーで行われるユーロ・ドッグ・ショー、11月には日本のドッグ・ショーにも出場する予定です。タイ国内では犬が外国に行くための血液検査などができないのですでに動いており、飛行機の手配も始めました。ちょうど6月のロシア遠征直後は私の誕生日です。親としてはマナーオに賞を獲ってもらって、最高の誕生日プレゼントをもらいたいところです」  犬を愛する日本人がタイ固有犬種でタイの代表として世界に挑む。吉田さんとマナーオの活躍は今後も注目していきたい。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM) 取材協力:泰国吉田犬舎
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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