被災地における仮設から公営住宅の転居で、今後さらに孤独死が増える!?

公営住宅のコミュニティづくりは住民に丸投げ

JVCが協力して開設された南相馬市災害公営住宅のサロンの様子。孤独死防止のため、住民自身が運営をしている

 公営住宅には集会場がない場合もあり、コミュニティを作るきっかけがなくて住民は孤立しがちになってしまう。 「昨年、JVCの支援する仮設から82歳の女性が公営住宅に転居しました。引っ越す前、その方は毎日のようにサロンに通っていて、他の住民と手芸を楽しんでいました。しかし、引っ越してからは『友人のいたサロンに行きたい』と繰り返し話して引きこもりがちになり、そのまま亡くなってしまいました。  住居があればいいというものではありません。コミュニティがあって、はじめて安心して生活ができるのです。しかし仮設住宅と違い、支援の必要性が理解されづらく、コミュニティづくりも住民に丸投げされてしまっているのが現状です」(同)

東北の復興にはまだまだ支援が必要

 JVCは南相馬市の公営住宅の自治会のSOSを受けて、サロンの開設に協力した。その際、JVCのような支援団体が運営するのではなく、公営住宅の住民のみで継続して運営できる体制を一緒に作った。 「公営住宅は“終の住処”になる場所。住民自身で継続できる体制が必要でした。運営委員集め、運営規約のコンセンサスづくり、運営資金の集め方、など体制づくりにかなりの時間を費やしました。しかし、そのようなことを住民だけで進めるのはかなりハードルが高いでしょう。東北被災地への関心低下から、JVCなどの支援団体への寄付はもうほとんどないのが現状です。まだ東北の復興には支援が必要だということを知っていただきたいです」(同) ※JVCの東北での活動は公式サイト(http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/touhoku/)に詳しく掲載されている <文/HBO取材班 写真/日本国際ボランティアセンター>
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