新しい職場ですぐ“馴染む”ための話法転換術

話法転換で聞き手の関心を高め周囲を引き付ける存在になれる

 しかし、心配はいらない。どんな人でも、わずか1分間のセルフトレーニングでその癖は直すことができる。それも、口下手だと自分で思っている人ほど、上達は間違いなく早いのだ。  その方法とは、次のように言い換える方法だ。「経験が浅いから、たいしたことない」という表現ではなくて、「経験が浅いなりにも、すばらしい取り組みだったのですが!」と言い換えるのだ。「単に聞いた話」ではなく、「聞いてとても気になった話なのですが!」と表現する。「一般的にはこうだ」と淡々と伝えるのではなく、「実際にあったことですが!」とする。「推測」する部分は、できるだけ「特定」できるようにして、「曖昧」な部分は、できるだけ「明確」に表現できるようにするのだ。 (1)自分は経験が浅いので、たいしたことないのですが……(ネガティブ) ⇒自分なりに、たいへんすばらしい取り組みだったのですが……(ポジティブ) (2)自分のことではなくて、単に聞いた話なのですが……(伝聞) ⇒私自身が聞いて、たいへん関心した話なのですが……(体験) (3)よくわかりませんが、一般的にはこう言われているのですが…… ⇒これは、実際にあった、A社の事例ですが……(事実) (4)いつのことだったかわかりませんが、ずいぶん前のことですが……(推測) ⇒昨日知った、先月の出来事なのですが……(特定) (5)どのくらい利用されているか、わかりませんが……(曖昧) ⇒調べたところ、30社で利用いただいているのですが……(明確)  このように言い換えるようになるためには、少しばかりの勇気が必要だ。決して自分の身の回りのことを誇大表現するわけではないが、ポジティブな表現や、自分の体験だとしっかりと伝えるという勇気だ。この勇気をひとつ発揮するだけで、聞き手の関心度がドラマティックに変わり、新しいメンバーとも打ち解け、周囲を引き付ける存在になれる。  そして、これらの表現に加えて、聞き手に「なるほど」と思わせることができるアンカリングのスキルを身に付けることができれば、人の輪の中心になることができる。人を動かすファシリテーションのスキルは、会議の場面だけのものではない。オフィスにおける1対1の対話の場面でも、プライベートでの対話でも生かすことができる、とてもパワフルなスキルなのだ。<文/山口 博> 「相手を引き付ける話法転換」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル10で、セルフトレーニングできます。 ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】 グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身。
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■お知らせ
チームを動かすファシリテーションのドリル』発売記念セミナー開催のお知らせ
本書の発売を記念して、5月12日(木)に著者・山口博氏のセミナーを開催いたします。
山口氏が開発した「分解スキル」を直接学べるチャンスです。ふるってご参加ください。
⇒詳細はこちらから。(http://www.fusosha.co.jp/news/info/info_article/168)

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