「ポニョ」舞台の鞆の浦、遥かに遠い「本当の景観維持」

鞆の浦の景観。この湾内を埋め立て、架橋する計画だった

「鞆の浦」埋め立て、33年の議論を経て中止に

 風光明媚な港町を舞台に、長年に亘って行われてきた裁判に終止符が打たれた。

 広島県は、2月15日に広島高裁(広島市)で行われた福山市の景勝地「鞆の浦(とものうら)」の埋め立て架橋工事をめぐる控訴審の進行協議において、被告側の広島県は免許交付申請を取り下げる意向を示し、原告側の埋め立て反対派も訴えを取り下げることで合意。これにより、1983年から計画されてきた鞆の浦の埋め立て架橋は中止されることが決定的となった。

「鞆の浦」は岡山県境にほど近い広島県東部の瀬戸内海沿岸にある小さな港町。その景観の優美さから、近年もジブリアニメ『崖の上のポニョ』のほかにも『ウルヴァリン: SAMURAI』『蒼穹のファフナー』など、数多くの有名作の舞台となったことで知られている。

 埋め立ての中止により、「鞆の浦の景観が守られることになった」と安堵した映画ファンも多かったことであろう。しかしその一方で、実際には「景観が守られた」と言い切ることができない現状も依然としてある。

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クルマ社会に翻弄される景勝地

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