美しいはけの春(はけの自然と文化をまもる会Facebookより)
今から50年以上前につくられた道路計画案が波紋を呼んでいる。東京都は昨年末、“塩漬け状態”となっていた小金井市内の2本の都道計画案を「優先整備路線」に選んだ。これらの道路が完成すれば、住民の立ち退きはもとより、都市部で貴重な雑木林や湧き水などの自然環境、文豪ゆかりの史跡などが失われることになる。突如目を覚ました都道計画案に、住民は戸惑っている。
「はけ」と住宅地を貫く2本の都道計画案(「はけの自然と文化をまもる会」サイトより)
都は都市インフラの基礎となる「都市計画道路」を段階的に整備。計画総延長約5000kmのうち、これまでに6割ほどが完成したとしている。昨年末に、都市計画道路の「第四次事業化計画案」が発表。この中で、小金井市内では「都道3・4・1号線」「都道3・4・11号線」の2本を「優先整備路線」に指定することが示された。
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3・4・1号線は「連雀通り」から枝分かれして東西に走るもので、計画幅は16m。対照的に3・4・11号線は、3・4・1号線の東端を起点に南北に抜け「東八道路」に至るよう計画され、同18mだ。
問題は、どの路線案も今から54年も前の1962(昭和37)年に計画されていたことだ。戦時中からこの付近に住んでいるという80歳代のAさんは「以前は雑木林と畑が広がっていました」と話す。ところが都市化が進む中で畑や林だった場所には住宅が立ち並ぶようになった。道路にかかる住民は当然、移転を余儀なくされる。
「以前から計画があったことを知る住民は少ないのでは」とAさん。都道計画案付近の土地で数年前に家を建てたというBさんは「不動産会社からは『都市計画道路はまずできないだろう』と聞かされていたのに……」と困惑している。