東芝家電部門買収の中国企業「美的集団」が直面する今後の課題

高口康太

中国家電というととかく爆発などのイメージがあるが、品質も向上しつつある。photo by Liang Pei lin (CC BY 3.0)

すでに世界シェア2位の美的集団はなぜ東芝を買収したか

 2016年3月17日、東芝は白物家電事業を中国家電大手・美的集団に売却することで基本合意した。

 2011年の中国家電大手ハイアールによる三洋電機冷蔵庫・洗濯機部門買収から始まり、台湾・鴻海集団によるシャープ買収、そして今回の東芝買収と続いたことで、かつて世界を席巻した日本家電業界の没落が如実に示された格好だ。

 もっとも数字を見れば、日中逆転はとっくの昔に起きている。美的集団の白物家電世界シェアはハイアールに次ぐ世界2位で4.6%(台数ベース、英調査会社ユーロモニター調べ)。売上高(2014年)は約2兆7000億円と東芝白物家電部門の1兆3000億円にダブルスコアで圧勝している。

 規模だけではない。美的集団の技術力も侮れない。記者自身、中国留学時代には炊飯器と電子レンジは美的集団のブランド「Midea」の安物商品を利用していたが、爆発することはおろか、壊れることすらなかった。200元(約3500円)以下の安物炊飯器でも、ちゃんとおいしく炊けるとあって、その実力に舌を巻いたことをよく覚えている。

 それほどの実力を持つ美的集団がなぜ今さら赤字続きの東芝家電部門を買収するのだろうか。そこには中国人の日本家電ブランド信仰が存在する。

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中国企業が自国富裕層を狙うとき「鍵」となるもの

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