飲食チェーンのバイト不足、原因の一端はクレーマー
すき家やワタミなど、いわゆる“ブラック企業”の烙印を押された飲食チェーンは従業員不足に泣いている。その原因はもちろんブラックな労働環境などさまざまな要因が考えられる。しかし、中にはド底辺クレーマーに辟易して辞めていく店員も少なくない。
多くのサービス業が危機的人材不足だと報じられるなか、当の従業員たちに意見を聞くと、意外な返答が返って来た。会社への不満以前に、客のクレームが理不尽すぎてやってられないと言うのだ。そんな悲鳴を上げるのは、デフレ経済下で成長してきた飲食・小売りチェーンの従業員たちばかりだ。
企業のクレーム処理に詳しい関根眞一氏は言う。
「モノやサービスが安く手に入る環境が当たり前になると、『安いからこんなもんか』が通用しなくなり、顧客は不満を持つようになる。私は『ロー(LOW)クレーマー』と名付けましたが、こうした現象がいつか出現すると以前から予想していました」
実際、現役の従業員から漏れ出る客からのクレームは、想像を絶する理不尽さ。
「とにかくすき家の客は『待てない』。入店後の対応や会計が30秒遅れただけでも怒鳴られ、店員呼び出しベルを連打する。何度も呼び出して『あと何分何秒で出ます?』とか、もはや嫌がらせですよ。ベル連打がなければもう少し早く提供できるのに……というのは『すき家クルーあるある』ですよ」(すき家店員♂・34歳)
「朝からビールを飲んでいた中年男性は『冷えていなかったから無料にしろ』って言うし、『このメニュー、この間までキャンペーンで安かったから同じ値段にしろ』とか。ドリンクバーだけ頼んで弁当食ってる人もいるし、毎回、滅入ります」(ガスト店員♀・24歳)
労働環境だけが取り沙汰される昨今。クレーム処理のノウハウを社内で確立していないのも「ブラック」と呼ばれる所以にもなるのだろうが、そうした内的な事情以外にもアルバイトが辞める要因はあるようだ。
<取材・文/HBO取材班 写真/時事通信社>
非常識で理不尽なクレーマーに嫌気が差し、離職することも
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