photo by FC Barcelona
3月8日と9日の大半のスペイン紙は世界のサッカー強豪のひとつ、バルセロナチームの本拠地スタジアム「カンプ・ノウ(Camp Nou)」の改修に日本の日建設計が選ばれたことを報じた。地元の建築事務所ジョアン・パスクアル&ラモン・アウシオが日建に協力する体制だ。
改修されるスタジアムは10万5000人を収容し、「Nou Camp Nou」と当面は呼ばれることになるという。
「新スタジアムは日本の魂を持ったものとなる」と地元紙
現在のスタジアムは1957年に建設されたもので、収容人員は9万3053人。その後、1982年のスペイン・ワールドカップの時には12万人まで収容出来るように拡張されたが、現在は建築基準法の規制が理由で縮小されて、9万9354人が収容可能となっている。
2000年に世界的著名な建築家フォスターの設計による改修プランが挙がったが、それに反対する意見が多く出たため反故にされた。しかし、改修の要望はその後も存在し、2014年にロセイル前会長(当時会長)の時に改修するか否かの投票が行なわれ、74%の支持を集めて改修が決定された。2015年6月に改修の為の設計プランの公募が行なわれ、26の設計チームの参加があった。そして、最終的に8チームから4チームが残り最終審査に入ったという。(参照:「
El Pais」)
審査の公正を守るという意味で、参加チームの名前は最初から伏せられていた。最終審査に参加したメンバーはバルセロナクラブ執行役員からバルトメウ現会長、スサナ・モンヘ副会長、モイス部長、そしてバルセロナの建築家連合会から3人の代表とバルセロナ市役所から1人という構成だった。最終選考では全員一致で日建設計とパスクアル&アウシオ建築事務所のチームを選んだという。選んだ理由としてどの紙面にも共通して、〈開放感があり、エレガントで、落ち着きがあり、時の流れに左右されず、地中海風で、民主的である〉という表現が記述された。また『El Mundo』紙は記事の書き出しに〈将来のカンプ・ノウは日本の魂をもったものとなる〉と言及した。(参照:「
El Mundo」)。
バルセロナの代表紙『
La Vanguardia』は、日建の亀井忠夫社長がヨーロッパ進出の基盤としてバルセロナを選んだ理由として〈アントニオ・ガウディーの作品による影響とバルセロナの建築学校の質の高さ、更にコミュニケーションの良さとバルセロナがもっている可能性からだ〉と述べたことを報じた。