photo by stevepb(CC0 Public Domain )
「下流老人」の定義は、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」(「下流老人」(朝日新書)の著者で、社会福祉士の藤田孝典氏による定義)のこと。生きてはいけるが、周囲と比べて明らかに貧乏な暮らしをしている状態の65歳以上の高齢者が、現在22%いるとしている。いまでも高齢化が進んでいるが、今後、医学や医療技術がさらに進歩し、癌の治療などの効果が高まれば、長寿化がもっと進むことになりそうだ。仕事をやめた時に、貯金が無ければ、老後は悲惨である。したがって、若い時から、資産を増やしていく投資を始めて、老後に備えることは重要であると考えられる。
米国S&P500が、上げ下げあっても、上昇し続けている現実
アベノミクス以降、日本株は上がってきているが、今後も上がり続けて、投資による資産形成は機能するのだろうか? 日本ばかり見ていると、投資に対して懐疑的になるかもしれないが、米国の株式市場を見てみたい。
米国S&P500は、米国の投資情報会社であるスタンダード・アンド・プアーズ社が算出している米国の代表的な株価指数であり、ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。S&P500は、1965年から2014年までの50年間で、ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどの大きな下げを経ながらも、年平均9.9%のペースで上昇してきた。
リーマン・ショックがあった2008年、S&P500は-38%と、大きく下落したが、下落する年はそんなに多いわけではない。過去10年間をとっても、下落したのは2008年と2015年の2回だけである。日本株が1990年以降のバブル崩壊以降、下がり続け、黒田日銀体制になってから、ようやく株高へ転じたのとは大きく異なる。とはいっても、デフレが長く続いた日本が異常であったのであり、日本株だけに投資していては報われることは無かったが、デフレではない国の、例えば、米国株やS&P500に連動するインデックスを買っていれば、資産価格は上昇していたといえる。
このように、S&P500が、上げ下げあっても、上昇し続けている現実に目を向けたい。今後もS&P500やS&P500に連動するインデックス、ETFは、今後も上昇していく可能性は高いと考えられる。したがって、S&P500に連動するインデックス、ETFに投資していけば、比較的安定した投資を行え、将来的には資産価格の上昇の恩恵にあずかることが期待できるだろう。