変貌する南の楽園。在タイ「ママ友」社会で増す軋轢

日本人向けマンションではママ友同士の軋轢も

 2000年のタイ在留邦人数は2万1154人。今や3倍にも増えて、タイ在住の日本人同士の関係が変わってきたのだ。2万人のころは日系企業も今ほど日本式の仕事はしていなく、案外のんびりとしたものだった。今では駐在員だけでなく現地採用の日本人従業員も増え、社内では否応なしに面倒な人間関係ができてしまう。  海外にいながらどっぷりと日本に染まらなければならないのだ。それは同居する家族にも言える。ある主婦は愚痴をこぼす。 「住みやすいとはいえ海外ですから、日本人が多いマンションを借りた方がなにかと助けあうことができます。でも、その住まいでできるママ友グループは日本の公園デビューのように人間関係に繊細なくらい気を遣わないといけないこともあります」  ごく一部ではあるのだが、運悪く人間関係がある意味濃厚な住居に入ってしまうと、企業とは関係ない駐在員の妻たちも軋轢の中で暮らさざるを得なくなる。場合によっては夫の地位がそのままママ友の地位にも反映されることもあるのだそうだ。さらに世界でも最大級とされる日本人学校もあれば、日本人の子息が多い学校や幼稚園もある。そこでは大なり小なりいじめも発生するのだが、親の仕事関係が私生活にも緊密であるため、いじめの相手にクレームをつけづらく、解決が日本よりも困難なのだと主婦は嘆いた。 <取材・文/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM)>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会