オタフクソースの先見の明――売上げ80億円に化けた「残りカス」って何だ?

残りカスに眠っていた売上80億円のお宝

 とはいえ、市場にない商品を作り出すわけで、どういうソースがお好み焼きに合うのか分からず、試作品を作っては広島市内のお好み焼き屋で意見をもらう、手探りの開発でした。しかし、試行錯誤を重ねていくうちに「とろみをつける」という方向性が固まっていきます。 「とろみ」に関して、様々なアイデアを試した末に辿り着いたのは、ウスターソースを作る際に出来る、従来使い道がなく捨てていた「オリ」と呼ばれる野菜・果実の食物繊維と香辛料の粉末から成る沈殿物を利用することでした。  ただ、「オリ」を利用すると、とろみとうま味は増すものの、辛くなり過ぎて食べられない、という問題が発生するため、今度は野菜や果実の分量を増やし、甘さを強める必要がありました。そして、更なる試行錯誤を重ねた末の1952年に「お好み焼き用オタフクソース」が完成します。  発売当初は「こんなドロっとしたソース気持ち悪い」と言われたこともあったそうですが、実際に食べた人の「とろみや甘みがお好み焼きに合う」との評判から、徐々に出荷量が伸びていき、ニーズに応える形で、1957年には家庭用に「オタフクお好みソース」も発売され、現在に至る人気を誇っています。 第63期決算公告 1月15日官報79頁より 売上高企業サイトより) 229億円 当期純利益 1億708万円 利益剰余金 45億1841万円 過去の決算情報 詳しくはこちら http://nokizal.com/company/show/id/1676237#flst

「お好みソース」の裏に壮大な歴史を持つ原料が

 また、その後も更なるソースの味への改善は続けられたのですが、1975年からは中近東の「なつめやし」の実である「デーツ」を原料として取り入れ、オタフクソースの独特の「うまみ」と「甘み」を深めることに成功しています。  ちなみに、この「なつめやし」は紀元前6000年もの昔からメソポタミアや古代エジプトで栽培されており、ギルガメッシュ叙事詩にも登場するもの凄い歴史を持つ食物で、聖書の「生命の樹」(エヴァンゲリオンなどでもおなじみのあれです)もそうだと言われているのですが、それが時空を超えて日本の広島で「オタフクお好みソース」に活用されている、というのもなかなか面白いところです。<写真/JaggyBoss決算数字の留意事項 基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。 【平野健児(ひらのけんじ)】 1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『SiteStock』や無料家計簿アプリ『ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。
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