「シガール」以前はチョコレートメーカーだったヨックモック
ヨックモックは、葉巻のような形の「シガール」が有名な東京都南青山に本店がある洋菓子店です。社名は創業者が訪れて菓子作りにも影響を与えたスウェーデンの村「JOKKMOKK」に由来しています。最近ではUAEやドバイといった
中東でも人気を博して、出店を加速させていますね。
第7期決算公告 1月21日官報61頁より
売上高:190億1707万円(2014年)
当期純利益:4億1400万円
利益剰余金:21億1300万円
過去の決算情報 詳しくは
こちら
http://nokizal.com/company/show/id/1401966#flst
ヨックモックの創業は1942年で、創業者の藤縄則一氏が幼い頃より東京の下町で兄の「藤縄商店」で菓子を販売していたことに端を発しています。太平洋戦争にともなう食料統制で、一時は菓子屋から離れることを余儀なくされますが、戦後再開させました。
再開後、商売が軌道に乗ってくると、当時需要の大きかったチョコレートの製造に着手、原料のカカオ豆の調達等に苦労しながらも、1957年には足立区梅島に工場を作り、機械化を推し進めるなど高度経済成長も追い風にして、中堅チョコレートメーカーに成長していきます。
しかし、その後高度経済成長がさらに進み、世の中が企業規模がものをいう、本格的な大量生産・大量消費の時代に突入すると、中堅メーカーには厳しい状況が訪れます。そんな状況の中で、1969年に組合で出かけた欧州へのチョコレート文化視察において、藤縄氏はあるお菓子と出会います。
それが、欧州ではポピュラーな、フランス語で「猫の舌」を意味する「ラング・ド・シャ」クッキーでした。味の特徴はふんだんに使われたバターの濃厚な味わいと滑らかな舌触りで、その歴史は17世紀まで遡ります。「ラング・ド・シャ」に新しいお菓子の方向性を見出した藤縄氏は帰国後、バターの配合や薄い生地作りについて試行錯誤を開始しました。
小麦粉はあくまでつなぎ程度とし、その分バターをこれ以上使うと生地の形が保てなくなるほど使って焼き上げた試作品は、味と舌触りはイメージ通りのものでしたが、割れやすく生地の強度を上げる必要がありました。
何か方法はないか模索していた時、手元にあった画集を眺めると、偶然「巻菓子」の絵が目に付きました。これをヒントに焼きあがったばかりの生地を手で巻いて冷ましてみると、見事に箱や缶に詰めても割れない強度を達成し、1969年11月にその見た目から「シガール」と名付けられた菓子は発売するや、大ヒットを記録し現在に至ります。