「極左」サンダースと「極右」トランプの意外な共通項
さらには、サンダース陣営と同じように、トランプ陣営も「これまで政界に属していなかった」「共和党エスタブリッシュメントとの喧嘩も辞さない」という姿勢が支持を集める要因の一つと成っている。候補者マッチングサイトとして定評のある”CROWDPAC”でもトランプ陣営支持者のコメントには、He truly is a “Washington outsider”「彼は本当のワシントン外部者だ」と言ったコメントや、”He’s not a career politician”「彼は職業政治家じゃない」と言ったコメントが目立つ。(参照:「
CROWDPAC」)
となると、「私は社会主義者だ!」を自称する「極左・サンダース」と「不法移民出て行け!」ばかりが悪目立ちする「極右・トランプ」の立ち位置は極めて似ているということになる。
すなわち、
・累進課税や富裕層への課税拡大を通して所得格差を是正する
・社会保障の拡充のため反緊縮路線に舵を取り積極的に財政出動することを辞さない
・ワシントンの既成勢力に媚びない
という点で、両者は極めて似ているのだ。
そして、両者が起こした「民主・共和どちらでも経済政策的に左に寄ることは有権者の支持を得られる」という旋風は他の候補者にも影響を及ぼしつつある。民主党ではクリントン陣営も「就学ローン問題」を話題にしつつあり、共和党の他の候補者たちも(クリス・クリスティーなど)「社会保障の拡充」「格差是正」を前面に押し出すようになった。大統領レースはトランプ・サンダースの予想外の躍進によって全体的に「左傾化」したとも言える。
こうした各候補者のポジショニングを「既成政党への信頼度」と「緊縮路線への態度」を軸にマトリックスにしてみると、こういうことになろう。
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/80331/%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%e9%81%b8%e3%83%9e%e3%83%88%e3%83%aa%e3%82%af%e3%82%b9
クリントンVSサンダースを見れば、知名度と実績が武器なクリントンはもちろん、既成政党への信頼度が高い。サンダースは元来無所属の上院議員。既成政党への信頼など元よりないので左下。
テッド・クルーズVSトランプならば、旧来の共和党支持者から人気のあるクルーズが既成政党より。そしてクルーズは大きな政府路線など一切言わないので、緊縮路線寄り。対するトランプは、反緊縮路線も辞さず既成政党と喧嘩も厭わないので、左下ということになる。こうしてみると、トランプもサンダースも第三象限に位置しており、とても似ていることがわかる。躍進する二候補が揃って第三象限に集中しているので、候補者レースそのものが、このマトリックスでいう左下に引っ張られていることも容易に想像がつこう。