新プランが発表されるも、得をするのは限られたユーザーのみ
事実上、総務省からの値下げ指示とも言える要請にいち早く反応し、4月以降に提供される新プランを発表したのがソフトバンク。主にライトユーザーをターゲットとした1GBのデータ通信に5分以内の通話なら掛け放題の「スマホ放題ライト」のセットで月額4900円といった内容だ。1GBの通信容量を超えた場合は、128Kbpsまで速度が制限されるが、1GBあたり1000円支払うことで高速通信を行うことができる。
端末代金を除けば5000円以下で利用できるため3大手キャリアの中では安価な料金プランといえるが、外出先で頻繁に利用するユーザーや音楽やYouTubeなどのマルチメディアコンテンツを利用したりする機会があるなら、あっという間に使い切ってしまう可能性が高い。
また、2GBや5GBと言った従来のプランの値引きもなく現状維持となるため、恩恵を受けられるのは、ほとんどスマートフォンを使わないユーザー、もしくは利用頻度に波があって頻繁に使う月は容量追加で対応するといったユーザーのみとなる。
現在のところ、docomoとauは4月以降のプランを打ち出していないが、ソフトバンクの条件を大きく超えるプランが登場するかは疑問が残るところ。つまり、今回の総務省からの要請に従い、新たに安価なプランを設けるものの、既存の一般ユーザーやヘビーユーザーがより安く使えるといった状況にはならない可能性が濃厚だ。
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ソフトバンク新プランの内容
総務省が取りまとめたスマートフォンの料金軽減と端末販売適正化への取り組み方針には、ライトユーザー向けの料金プラン新設以外にも端末代金の適正化に関する取り組みも含まれている。これは、MNPや新規ユーザーが優遇され、既存のユーザーは機種変更に高額な代金を支払う必要がある現状の不公平さを是正することを目的に取り組まれる項目だ。
すでにdocomoでは、販売代理店に対して実質0円での端末販売やキャッシュバックキャンペーンの廃止を決定しており、auとソフトバンクが追従する可能性も高くなっている。なお、この対応によりdocomoの場合は、端末価格が1~2万円の値上げされる見通しだ。
これまでMNPなどの新規加入者に対する端末代金の割引には、既存ユーザーの使用料が投入されていたため不満を募らせるユーザーが多かった。今回の措置によってMNPを含む新規加入者と既存ユーザーの端末代金差が縮まることは間違いないが、双方とも端末代金そのものの負担金が増加するとみられている。
つまり、総務省から出された今回の要請が実行されたとしても、現状のまま事が進めば、一般的な既存ユーザーの多くは月々の使用料が変わらないにもかかわらず、端末代金の負担額が上がってしまうという結果になる可能性が高いのだ。
いまやスマートフォンは生活に密着した必需品。通信料の節約を考えるユーザーも少なくない。通信環境が整った今、大手キャリアにこだわる必要もなく、格安SIMで十分だと判断するユーザーも確実に増えている。毎月のデータ通信容量を確認し、容量を無駄にしているなら通信プランの変更や容量の選択肢が多い格安SIMに乗り換える。といった具合に、今まで以上にキャリア主導ではなく、自分自身でお得に使うための方法を見極めていくことが必要となるだろう。<文・図版/古作光徳>
【古作光徳】
パソコン関連誌の編集部を経て、2006年にライターとして独立。主にパソコンやスマホ、家電関連誌などを中心に活動中。近年は車やバイク、将棋など、趣味関連誌の執筆や編集にも携わっている。