保有株式を“強制的”に低額で没収――MBOの落とし穴

帝国劇場

東宝不動産所有の帝国劇場/撮影 ムーラン編集部

東宝不動産事件は異例の事態

 土地を100万円で買ったら、三年後に無理やり取り上げられ、文句を言うと、 「なら40万円払ってやる。こんな土地は、相場30万円だ。3割も高く買ってやるからありがたく思え」と言われたらどうだろう?  おそらく、「もう二度と土地なんて買わない」と思うだろう。まったくありえない話である。  ところが、株の世界では、このようなことが日常的に行われている。それが、MBO(経営者による買収)や、完全子会社化である。  現在、私はMBOや完全子会社化の裁判を9件抱えているが、その一つ、東宝不動産の完全子会社化の事件では、高裁の審理が10ヶ月近くにわたってストップするという異例の事態となっている。  この事件は、親会社の東宝が東宝不動産の株式を735円で取り上げようとしたものだ。東宝不動産は一等地に不動産を持っており、帳簿価格でも1500円、時価ベースでは2500円の価値がある。そこで私は、平成25年5月の東宝の株主総会で、逆に提案してみた。 「私の株を735円で取り上げるなら、逆に東宝が持っている株を1,000円で売ってください。」  少なくとも1,500円の価値がある東宝不動産株を1,000円で売ってくれるなら億万長者になれると考えたからだ。いうまでもないが、東宝は躊躇なく拒絶した。
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東京高裁の判決の行方は……?
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