優待株の裏技――決まった時期に売買するだけで勝てた!

広がり続ける格差や給料頭打ちの経済情勢なぞどこ吹く風と言わんばかりに、アグレッシブに資産を増大させているミリオネア投資家たち。そんな彼らの独自の投資戦略、そして資産形成術と勝負のタイミングを知ることで、億超えへの道を探る! 【テーマ株 夕凪氏】 総資産1億円以上/投資歴16年 直近1年の騰落率 +70%
夕凪氏の資産推移

【夕凪氏の資産推移】ITバブルで栄枯盛衰を味わった夕凪氏だが、コバンザメ投資法をキッカケに投資を再開。その後、イベント投資法を編み出してからは安定して上昇。アベノミクスの波に乗り、資産を大きく増やした

 わずか30万円という投資資金から始めて億超えを果たしたという夕凪氏。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。 「前に勤めていたIT系の会社でアメリカのシリコンバレーに赴任したんです。向こうではサラリーマンが投資をするのは一般的で、職場でもみんな暇さえあれば株について語り合っていました。ちょうどネット証券も普及し始めたので、言葉の壁もなくなり、ITバブル直前の’99年に株式投資にチャレンジしました」  当時はまだ赤字企業だったアマゾンなどのIT企業に投資すると、株価はぐんぐん値上がりし、あっという間に投資金額は倍になった。  しかし、バブルに乗るだけで大儲けできるほど甘くないのがこの世界。翌年、ITバブルが崩壊すると、ついには元の投資額を割り込むほどに。耐えきれなくなった夕凪氏は、帰国と結婚を機に株式投資の世界から離脱した。 「優良企業なら落ちないと思っていましたが、『○○バブル崩壊』と名のつくものは、財務内容に関係なく株価が下がります。耐えきれなかったのは残念でしたね。帰国してからはしばらく仕事に没頭していましたが、失敗したことが悔しく、何か新しい方法はないかと考えていました。そこで“コバンザメ投資法”について書かれた『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』(あっぷる出版社)という本に出会ったんです」  業績やその予想、チャートではなく、「東証2部から1部に昇格するときに株価は上がる」といった法則を解説したこの本にインスピレーションを受けた夕凪氏は、再び30万円を元手に株式投資にチャレンジした。 「法則といってもすべてに共通するわけではありませんし、値上がりする銘柄ばかりではなく、株価が上がるまでの時間もまちまちでした。そこで自分なりに検証し直した結果、銘柄の時価総額がカギになっていることなどを発見したんです。また、このころ株主優待がほしくて保有していたスタバ株などの動向に特徴があるということにも気づき始めました」
スタバ

『スタバ株は1月に買え!』という著書もある夕凪氏。スタバ株に限らず、イベント投資は売り時を誤ると株価が下がってしまうので、タイミングをハッキリ見極めることが不可欠だ

 こうして誕生したのが、今や夕凪氏のトレードマークとなった“イベント投資”だ。 「イベント投資は、これまで一般的に『特殊需給』などと言われてきたものを再解釈したものです。たとえば株主優待を取りにいく投資家の動きによって、権利確定日に向かって株価が上昇する……など、イベントによって需給動向に変化が出る現象ですね。バレンタインデーがあれば人は必然的にチョコを買いに来ますよね? それと同じで、投資家が買いたくなるイベントに合わせて、株を仕込むわけです」
11月から4月末が勝負

イベント投資 1年の流れ

 こうしたイベントは必ずやってくるため、株式市場の動向に左右されないのも魅力的だ。30万円から再スタートした夕凪氏は、わずか数年でキャッシュで家を買えるほどまでに資産を増やすことに成功した。 「コツコツ安定して稼げるのがイベント投資の特徴ですが、短期間で億超えを狙うなら、まずは分散せずに集中投資するのが絶対条件です。ほかにはバブルのような上がり方をするときは、高値をつけた銘柄が、より高値を更新することが多いです。ですので、年初来高値を更新したイベント投資対象銘柄を狙うのもいいと思います。私自身、アベノミクス相場のときは全力で買いにいって、大きな利益をあげました」  その結果、’12年には会社を退職した夕凪氏。現在は専業投資家として活躍している。 「何かあっても生活が安定しているので集中的に投資ができるなど、軌道に乗るまでは、会社員ならではのメリットもあると思います。専業になるとリスクも大きくなってしまうので」  そんなサラリーマンでも始めやすいイベント投資だが、1年を通して、おおよそ決まったルーティンがあることも特徴のひとつだ。 「11月から4月末は上昇期ですね。それ以外は下降していくので、保有する銘柄も減らしていいと思います。もっとも大きく稼げるのは年末と2~4月の上げです。アノマリーと呼ばれる、なぜか毎年この時期は上がるといった株式市場の癖を知っておくことも大切です。未来の予測ではなく、とにかく過去のデータをたくさん勉強すれば、自ずとアノマリーが見つかると思います。そういった情報をいくつか集めておき、それらが重なるタイミングはいつもより投資額を増やせば、個別株の現物買いでも短期間で利益があがるかもしれません」  イベント投資は決まった日時に合わせて株を売却するため、「もっと上がるんじゃないか……」とついつい誘惑に駆られ、不要なリスクに身を晒す危険も少ない。  昨年も総資産の70%ほどの利益を出しているという夕凪氏。最後に今年のポイントを聞いた。 「イベント投資は決まったルーティンがあるので、これといって2016年だからという部分はありませんが、ひとつ言えるのは消費増税のタイミングですね。ハッキリと日付が決まれば、それまでは政府の景気対策などの影響もあり、上昇していくのではないでしょうか」  消費増税という大きな“イベント”の日付が決まれば、また新たな億超えのチャンスが生まれるかもしれない。

2016年はココに注目!

上昇チャンス 現在、消費税は’17年4月に10%になることが決まっているが、景気や世論の動きによっては延期する可能性も否めない。引き上げられるまでは各種景気対策や金融緩和が予想されるため、一気に上昇するチャンスとなる 【億超えを確信した瞬間】 「イベント投資が形になった瞬間です。また、資金に大きなメリハリがついたのは、高値をつける毎に買い増す“ピラミッディング”という手法が書かれた『欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア』という本を読んだときです」 【夕凪氏】 ダントツ投資研究所所長。30万円の投資資金を、大手IT企業に勤めながら、キャッシュで家を買えるほどに増やす。現在は専業投資家。著書に『スタバ株は1月に買え!』 ― ミリオネア投資家の(秘)戦略 ―
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