Facebookで増殖する「1000いいね!ビジネス」の実態

我妻伊都

Public Domain

 最近、フェイスブック(以下FB)で、『1000「いいね!」を獲得すると成功する』とか『夢が実現する』などと謳っているグループが増えているのをご存知だろうか。

 1000「いいね!」。確かに魅力的な数字だ。FBで「いいね!」やシェアされると拡散力があり、自身のWebサイトがあればPVにも繋がるし、店舗ならば集客力にも繋がるかもしれない。こうしたことはFBユーザーなら知っているので、お金を払ってでも学びたいという人もいるのかもしれない。

 そのためか、FB上には数えきれないほど同様のことを謳うグループが活動しているのだが、かなりのスピードで増加しているのだ。

 あるグループでは、一般社団法人が運営しているとなっている。NPO法人というケースもある。さらにその組織には著名人がかかわっていることを謳うグループもある。いずれも安心や信頼させるためだろう。

 こうしたグループは何を行っているのか?

 それは、「セミナー」である。

 あるグループの運営に誘われた人の話によると、セミナーは3か月間で6回。その期間で700~1000「いいね!」を達成させる。セミナー代は40万円から60万円。費用は講師によって異なるが内容はどこもほとんど同じだ。1000「いいね!」を獲得する方法を解説してくれるのだ。

 あるセミナーへの勧誘説明会などは、プロジェクターで映し出されたFBへその場で投稿してわずか15分足らずで300いいね、コメント50、シェア10件などを集める実演をしたりもしている。目の前で見せるので効果絶大だそうだ。

1000「いいね!」を獲得する手口

 しかし、彼らはどうやって1000もの「いいね!」を集めるのだろうか。これは数年前に流行った情報商材ビジネスのアフィリエイトでしばしば行われる手法を踏襲している。

 まずは、数十人いるキーパーソンへ友達申請して友達になる。このキーパーソンは、いわばこの界隈の「カリスマ講師」であり、こうしたネタの拡散力と影響力ある人たちだ。次に、友達となったキーパーソンの名前を出し、〇〇さんのFB友達の××ですとメッセージを送り友達をひたすら増やしていく。

 もちろん、誰でもいいわけではなく、毎日大量のいいねを押してくれる人など強力なアクティブユーザーやキーパーソンが関係するグループの人たちを中心に選んでいく。要するに「同好の士」を集めるというわけだ。「同好の士」とはいうものの、「△△の会で活動しています」などとは書かないように指導されるという。これは、どうやら通報されるのを防ぐためのようだ。

 通報やアカウントのBANは彼らも恐れるところで、そうされないようにいろいろ策を弄している。例えば「投稿は猫や花の写真がいい」など細かいルールが決まっている。どうでもいいような花や猫の写真で同じ時間帯に「おはようございます」などと投稿する人を見たことないだろうか? それに1000近い「いいね!」がついていたら、この実践者である可能性が高い。

 さらに、彼らの「分析」によると、「FBは、1日に何十人も友達申請するとアカウント停止を食らうことがあるけど、実はその上限は、獲得するいいね数に比例して上がっていくと言われ、たとえば、1日平均100いいねついているとすれば、1日100人くらい申請しても問題ないと言われます」という。また、キーパーソンと呼ばれる人の多くは友達の総数を隠し、共通の友達だけ表示させるように設定している。これは、友達5000人近い状態だと業者っぽく受け取られるのを防ぐためだ。こうした「ノウハウ」をセミナーで教えるのである。

 そうして「同好の士」に片っ端から友達を申請し、友達3000人にもなれば1000「いいね!」も到達可能なのだという。

 ただ、こんな風にして集めた「いいね!」に一体なんの価値があるのか……と思うかもしれないが、これをマネタイズする手法もまた、数年前に流行っていた情報商材ビジネスとまったく同じである。

マルチの手法で爆発的に拡大

 セミナー代は40万円から60万円というのは先述したが、このセミナー代がキモなのだ。

 セミナー代40~60万円のうち、30~45万円はセミナーに1人参加させたことに支払われる紹介者報酬なのである。そして、残りを講師が受け取ることになる。10万円として、100人集められれば、講師は1000万円を懐に入る。そして紹介者にとってもかなり美味しい収入なので、紹介するため熱心に勧誘活動をするようになるというわけだ。

 さて、そしてそのセミナーで1000「いいね!」を達成したら、次はどうするか。そう、今度は達成者がこのノウハウを商材としてセミナーを開催して稼いでいくことを教えられるわけだ。そして、当然ながら、上の階層にいる講師(キーパーソン)は「子」が講師になってセミナーを開催すれば、その講師報酬の一部を受け取ることになる。つまり子が孫を熱心に勧誘する仕組みと、子や孫が増えれば親がどんどん潤う仕組みが出来上がっているわけだ。このへんもMLM(マルチレベルマーケティング)と同じ仕組みだ。そう、要するに、古典的情報商材MLM商法なのである。

 最近あるグループから抜け出した男性は、内部は教祖さまを崇め賞賛する新興宗教のようだったと語る。そんな各グループ内では、FBで稼げるのはあと1年半と言い回っており、1日でも早く講師になって稼ぎなさいと口酸っぱく勧めている。「いつ稼ぐの?今でしょ?」が1年遅れで流行っているとか。

<取材・文/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma

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