証券会社のレポートはどのように活用すればいい?
2014.09.22
証券会社が発行するレポートの影響力は甚大で、株価が大きく左右されることが多い。しかも、「事前に仕込んでいる」「利益確定のための高値演出」といった批判もある。証券会社レポートの実態を明らかにすると同時に、我々個人投資家はどう活用すればいいのかを探った。
⇒【前編】[証券会社レポート]の虚実を見抜く https://hbol.jp/7243
機関投資家を顧客に持つ大手証券に対し、国内の中堅証券や地場証券ではまた事情が違うようだ。
「中堅・地場証券は個人投資家が顧客の中心。レポートも個人投資家への投資情報という位置づけで、中堅証券といえどもレポートで取り上げられた銘柄はマーケットでも大きく反応することが多い。例えば今日の朝に格上げしたというニュースが出た場合、実際には前日の後場には顧客はそのレポートを見ることができます。当然、その日に仕込んでいる投資家は多くいますよ」(中堅証券アナリスト)
レポートが出てから買おうと思っても、その数日前から出来高が増えてすでに上昇し始めていることも多い。では個人投資家はどうやって証券会社のレポートを活用すればいいのか?
「あるアナリストが『A社が好調』だと気づいてレポートを出しても、マーケットはすでにそれに気づき、織り込もうと動いているもの。ですから、レポートが出たときには上がりすぎていることも多い。短期的には逆張りしたほうが得策でしょう」(某ヘッジファンドのファンドマネジャー)
独立系株式アナリストも、「『曲がり屋に向かえ』という格言があるが、それが正しい」と語る。
「予想を外しまくっているアナリストが現状追認の格付けに変更したときは絶好のタイミング。そんなアナリストが格上げしたら売り、格下げしたら買いですよ」
ただし注意点も。
「レポートは『何を言うかではなく、誰が言うか』という面も強い。その意味では、“ノルマ証券”と呼ばれるほどノルマが厳しい国内最大手の野村證券とGS証券、JPモルガンの影響力は別格。次にUBS証券やクレディスイスらの外資、日興、大和などが続く。ちなみに、いちよし証券は中小型株に強い優秀なアナリストを抱えていて、マーケットの反応も大きいですね」(独立系株式アナリスト)
情報ベンダーの株式アナリストは「短期的な材料にもなるレポートですが、もともとは半年~1年くらいの株価を分析している。できるだけ安い局面に買い、中期的に目標株価まで狙うのがいい」と話す。投資スタンスに合わせて上手に利用すれば、証券会社のレポートも有益情報になりそうだ。
「機関投資家の投票による『人気アナリストランキング』がありますが、これは大学のミスコンみたいなもの。サークルの組織票の多いコがミスコンを獲得するように、機関投資家の応援が多いアナリストほど上位になりやすい。実際、機関投資家に“営業”している人もいますからね」(某国内証券アナリスト)
ランキング上位になれば給料アップはもちろん、出世も約束される。
「応援してくれたお礼に“見返り”を約束することもある。つまり、機関投資家が儲けられる有利な情報ですよ。特にこの世界、ギブ・アンド・テイクですから(笑)」(同)
レポートがそんなことに使われている可能性もあるということか!?
取材・文/証券会社レポート取材班 図版/ミューズグラフィック
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